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低圧蓄電池ビジネスの最前線〜需給調整市場・容量市場での収益化と劣化を克服するフライホイール蓄電池〜

11月20日(金)
株式会社AnPrenergy 代表取締役
村谷 敬(むらたに たかし) 氏
PandaPower株式会社 代表取締役
中島 篤志(なかじま あつし) 氏
2026年4月、家庭用蓄電池をはじめとする低圧リソースが需給調整市場に参加できるようになりました。容量市場でも、家庭用蓄電池を束ねて供給力として投入する企業がすでに現れ、49.5kWの低圧系統用蓄電池に乗り出す事業者も相次ぐなど、低圧リソースを電力市場で活用する動きが活発になり始めています。一方で、一次調整力などの上限価格は9月に15円から10円へ下がり、低圧系統用蓄電池の接続手続きには規律強化の検討が始まりました。規模の小さい低圧蓄電池は、どう束ね、どの市場で、どの電池で稼ぐかによって事業性が大きく変わります。
本セミナーでは、前半で、低圧蓄電池ビジネスのモデルを類型別に整理し、海外の先行企業や国内プレイヤーの動き、制度動向を踏まえて、事業として成り立つ条件を実務目線で解説します。後半では、高出力・高速応答・長寿命を特長とするフライホイール蓄電池を取り上げ、一次調整力で課題となる電池劣化への解決策を、リチウムイオン電池と組み合わせたハイブリッド蓄電の取り組みとともに紹介します。
1.低圧蓄電池ビジネスの要諦 / 村谷 敬 氏
(1)低圧蓄電池ビジネスのモデル:配電線に直結する系統直結型(49.5kW蓄電所)と、家庭・店舗に置く需要家側設置型に分けて整理。
設備の保有者、束ね役、収益源(需給調整市場・容量市場・卸市場の値差・電気料金削減)がどう違うのかを構造で示す。
(2)参考となる海外企業:蓄電池を自社保有して家庭に置き、電力小売と一体で提供する米Base Power(評価額130億ドル)、
家庭用蓄電池を束ねて一次調整力を供出する独sonnenなど、先行企業の稼ぎ方を分解し、日本への応用を考える。
(3)日本企業の取り組み:電力・ガス大手による家庭用蓄電池やエコキュートの機器制御型DR、VPP基盤事業者、
低圧系統用蓄電池を区画単位で開発・販売する事業者まで、国内プレイヤーを類型別に整理。各社の狙いと、
束ねた運用実績の現在地を確認する。
(4)日本における制度動向:需給調整市場への低圧リソース参入解禁と機器個別計測、上限価格の引下げ(15円→10円)、
低圧系統用蓄電池の接続規律の検討、JC-STAR・DRreadyの要件まで、事業性を左右する制度の要点と今後の方向性を読む。
(5)低圧蓄電池ビジネス成功のポイント:上限価格の引下げと足元の約定価格下落を踏まえ、需給調整市場の一本足に頼らない
収益設計を出発点に、束ねる規模と制御基盤、劣化・保証の管理、アグリゲーターとの契約条件、制度変更への備えまで、
事業が成り立つ条件を示す。
2.フライホイール蓄電池が生み出す新たな世界線 / 中島 篤志 氏
(1)フライホイール蓄電池とは:電気でローター(はずみ車)を高速回転させ、運動エネルギーとして蓄える機械式の蓄電技術。
化学反応を使わないため充放電を繰り返しても劣化しにくく、高出力・高速応答に優れる。
リチウムイオン電池との得手不得手の違いを解説。
(2)フライホイール蓄電池が解決する社会課題:一次調整力のように短周期・大電流の充放電を繰り返す運用は、電池の劣化を早め、
投資回収の見通しを不確かにする。蓄電池オーナーが抱える劣化への不安を起点に、資源調達、火災リスク、リサイクルの課題に
どう応えるかを示す。
(3)フライホイール蓄電池のユースケース:秒単位の短周期変動をフライホイール、長周期の充放電をリチウムイオン電池が担う
ハイブリッド蓄電が軸。
一次調整力への対応、電池の長寿命化による交換費用の削減、既設蓄電所の延命、電池容量と設置スペースの削減などを紹介。
(4)PandaPowerの取り組み:出力50kW・容量1kWhの試作機を開発し、国際会議IEEE GCCE 2025で成果を発表。試験で確認した出力と
応答性能、リチウムイオン電池と組み合わせた低圧ハイブリッドシステムの構成、価値検証の計画を説明する。
(5)日本のフライホイール蓄電池ビジネスの発展に向けて:希少金属への依存が小さく、自動車のサプライチェーンを活用できる
フライホイールは、国産での低コスト量産に道がある。量産化の道筋、実証パートナーとの連携、高速応答という価値が
市場で評価されるための制度面の課題と展望を語る。
3.質疑応答/名刺交換


電力ビジネスが黎明期だった2009年から新電力支援サービスを手がけるエナリスやエプコで電源調達や需給管理を担当し、電力全面自由化を迎えた2016年に独立。電力市場の価格形成に関する専門的な見地から、電力ビジネス全般のコンサルティングを手がけ新電力100社以上を支援。現在では、大手電機メーカー、金融機関、自治体などを対象とした、エネルギーコストの削減や脱炭素化、再生可能エネルギーの導入などもサポートする。主な著書に「エネルギーの未来 2020-2029」(日経BP)がある。系統用蓄電池ビジネスは2021年度より現在まで、国内で50社以上の開発支援、20社以上のアグリゲーター業務内製化、5社の補助事業採択の実績がある。
2003年より大手自動車メーカーにて太陽光発電システムの研究開発に従事。パワーエレクトロニクス、システム設計、発電量予測、長期信頼性評価など、再生可能エネルギーの基盤技術を担当。2013年からはハイブリッド自動車向けインテリジェントパワーモジュール(IPM)の生産技術開発に携わる。2018年からはVehicle to Grid(V2G)充放電システムの開発を主導し、双方向充電、機能安全、電磁両立性(EMC)など、モビリティと電力系統をつなぐ領域の実装開発を担当。2023年よりフライホイール蓄電システムの研究開発に着手し、2024年11月にPandaPower株式会社を設立。EV急速充電、系統用蓄電池、AIデータセンター(AIDC)向けなど、次世代電力インフラへの応用に取り組んでいる。IEEE IPEC2026国際会議にて、フライホイールによる系統安定化とEVバス急速充電システムに関する研究成果を発表。
