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【構造転換期の地域メディアに求められる視野とは】
〜地域性・公共性・収益性を再構築するために〜
7月18日(金)
京都産業大学
現代社会学部 教授/学長特命補佐
脇浜 紀子(わきはま のりこ) 氏
伝送路が多様化し、人々のメディア消費が分散化するデジタル社会において、地域の電波という公共資源を預かるローカルテレビ局の存在意義を改めて問い直したい。まず、地上波民放テレビの現状と近年の制度変更を整理し、「兵庫県問題」を生み出す民放の構造的課題を指摘する。その上で、「総合編成ありき」「系列ありき」あるいは「ジャーナリズム=権力監視」といった思考の”前提脳”をいったん脇に置き、地域課題の共有と解決を第一義とするパブリック・サービス・メディア(PSM)という選択肢を提示する。また、デジタル空間の情報流通の健全性という観点からも、ローカルテレビが果たせる役割は大きく、具体的な事例を交えつつ、今後地域で展開可能な実践モデルを提案したい。
1.「東京の大雪のニュース」はどれほど必要か?
日本の放送制度と系列構造の再確認
2.地域ニュースは足りているのか?届いているのか?
「都市圏エアポケット」と兵庫県政の取材空白
3.総合編成・系列ありき、の”前提脳”を脱ごう
伝送路の多様化と制度的発想の転換
4.パブリック・サービス・メディア(PSM)という選択肢
「ジャーナリズム=権力監視」だけではない公共性の形
5.偽情報対策としての地域メディア
取材者・制作者の育成
6.質疑応答/名刺交換
※本講演開催までの動向を踏まえ、内容を更新する可能性があります。
山陰中央テレビジョン放送株式会社
執行役員 地域創造ビジネス局長
兼 コンテンツ戦略部長
岡本 敦(おかもと あつし) 氏
ローカル放送局はこれまで、地域に根ざした情報発信を強みとしてきましたが、近年のグローバル化・デジタル化、配信化の波の中で、“地域限定”の枠組みを超える可能性が急速に広がっています。
SNSや動画配信プラットフォームの浸透により、地元のコンテンツが国境を越え、多言語化され、海外の視聴者やビジネスパートナーとの接点を持つ時代が到来しています。本講演では、ローカル局がどのようにして海外市場と接続し、地域発の文化・情報・商品を“越境”させるかという視点で、具体的な事例や戦略、そして収益モデルの再構築についてお伝えします。
「地域発のグローバルメディアビジネス」は、今だからこそ現実的な選択肢として検討すべき局面に来ています。
1.なぜ海外に挑戦するのか?その背景からみえる可能性とは
2.ニッチを攻めろ 巨大マーケット中国への挑戦
3.コンテンツでファンとつながる 中国のファンビジネスでマネタイズ
4.地域資源を海外へ ローカル局が日本酒を中国に越境EC販売
5.視聴率だけじゃない 山陰の15%ではなく 全国の1%をめざせ
6.質疑応答/名刺交換
神戸生まれの神戸育ち、現在も神戸在住。読売テレビのアナウンサーとして「ズームイン!朝!!」の全国ネットキャスター、「ミヤネ屋」のレポーターなど、25年間にわたり報道・情報番組等を担当。阪神淡路大震災の報道経験をきっかけにメディア研究をはじめる。2016年末で早期退職し、2017年4月より京都産業大学現代社会学部教授に着任。2000年に南カリフォルニア大学修士号を、2010年に大阪大学大学院国際公共政策博士号を取得。著書に「テレビ局がつぶれる日」(東洋経済新報社、2001)、「ローカルテレビの再構築〜地域情報発信力強化の視点から」(日本評論社、2015)、「メディア・ローカリズム〜地域ニュース・地域情報をどう支えるのか〜」(中央経済社、2019、編著)。主な研究分野は地域情報・地域メディア。
早稲田大学第一文学部卒 鳥取県米子市生まれ
1999年 山陰中央テレビ入社、報道部、制作部で取材や番組制作を行う
2013年 東京支社営業部 及び 海外コンテンツ事業を立ち上げる
2022年 株式会社ACD(東京)に兼務出向し、中国へのコンテンツビジネスを立ち上げる
2025年〜執行役員 地域創造ビジネス局長 兼コンテンツ戦略部長
中国への越境ECビジネスやコンテンツの国内外マネタイズプロジェクトを担当する