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欧米中のEV、電池規制が及ぼす電池産業への影響と今後の戦略〜欧州CO2規制・電池規制、米国ZEV規制、中国NEV規制等への対応〜
9月20日(金)
名古屋大学 未来社会創造機構 客員教授 工学博士
エスペック(株) 上席顧問
イリソ電子工業(株) 社外取締役
前サムスンSDI常務
佐藤 登(さとう のぼる) 氏
米国ZEV規制と中国NEV規制、そして欧州CO2規制が進行している中で、2023年8月にはEU電池規制が発効し、電池製造におけるカーボンフットプリントと元素リサイクル規制が要求されています。そして2022年8月に米国から発令されたインフレ抑制案(IRA)も重なり、それぞれEU域内と米国内に有利な形でEV産業と電池産業を誘引する政治的力が大きく働いています。このような状況下で自動車業界、電池業界、部材業界は大きな戦略転換を迫られたり対応したりしています。
一方で、安全性にまつわる事故はこれまでも多発し、最重要課題にもかかわらず海外ではまだ課題として残っています。その事故は中国ローカルEVメーカーと米テスラのEVに偏在していましたが、2019年中盤以降からは韓国のリチウムイオン電池(LIB)を搭載した海外のEVやPHEVで火災事故が多発しました。日系電池メーカーの電池を搭載した日系自動車メーカーのxEVでは27年の長きに亘って公道での火災事故は1件もありません。その違いはどこにあるのかも解説します。これと連動しつつ、いずれにしても車載電池のグローバル競争が激化しています。
本セミナーでは、国内外におけるリチウムイオン電池および関連部材の市場・技術動向、電動化を加速させている自動車業界と電池業界の動向、および各業界に求められている対応・戦略等について解説します。トヨタ自動車を中心に全固体電池の研究開発も全世界的に活発になっている中、全固体電池の魅力と課題を踏まえ、その可能性についても述べることにします。2021年から経済産業省の「蓄電池産業推進会議」の有識者委員として提言してきた大胆な内容や成果と秘話についてもお伝えします。
1.自動車の環境規制と電動化の歴史
(1)米国ZEV法規発効からの電動化の流れ
(2)各国の環境規制と電動化の加速、直近の政策変更
2.直近の自動車業界と電池業界のトピックス
3.自動車各社の取り組み・投資戦略とサプライチェーン
4.電池業界の事業競争力とビジネスモデル
(1)各国の電池産業の現状と課題
(2)電池業界における競争力比較
(3)電池各社のビジネスモデル
5.日系LIB部材業界の存在感低下の要因
(1)LIB部材の変遷・市場動向
(2)存在感低下の要因と今後の向かうべき方向性
6.LIBの安全性評価と受託試験・認証事業
(1)車載用電池の事故・リコールの歴史
(2)国連規則と認証事業
(3)エスペックの受託ビジネス・認証ビジネス
(4)電動車の火災事故を招く要因分析
7.次世代革新電池の研究開発状況と課題
(1)期待される次世代電池の種類
(2)全固体電池の現状と課題
8.日本の電池政策への提言と成果および今後の課題
(1)電池リサイクルビジネスの重要性
(2)日本の電池業界が陥れられた苦い特許戦略
(3)経産省主導「蓄電池産業戦略推進会議」における提言と成果および課題
9.質疑応答
1978年 横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了後、本田技研工業(株)に入社。1989年までは自動車車体の腐食防食技術開発に従事。社内研究成果により、1988年に東京大学で工学博士号を取得。1990年に(株)本田技術研究所の基礎研究部門へ異動。電気自動車用の電池研究開発部門を築く。同社栃木研究所のチーフエンジニアであった2004年に、韓国サムスングループのサムスンSDI常務に就任。2004年から2009年までの5年間は韓国の中央研究所で技術経営、その後、本社経営戦略へ異動と共に逆駐在の形で東京勤務、2012年12月にサムスン退社。2013年よりエスペック(株)上席顧問、2021年よりイリソ電子工業(株)社外取締役。2021年11月より経済産業省主導「蓄電池産業戦略推進会議」有識者委員、2023年11月より「愛知県次世代バッテリー研究会」委員。主な著書:『電池の覇者』(日本経済新聞出版)2020 /『車載用リチウムイオン電池の開発最前線』(シーエムシー出版、監修・執筆)2020/『人材を育てるホンダ 競わせるサムスン』(日経BP社)2014/『最新工業化学』(講談社サイエンティフィック、分担執筆)2004 他。