SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

会場受講/ライブ配信/アーカイブ配信(2週間、何度でもご視聴可)

「EVシフト」は幻想だった!EV信奉メーカも戦略修正に動く

〜CO2削減の道筋はHEV拡大とdrop in fuel導入による既販車対応〜

No.
S24290
会 場
SSK セミナールーム
東京都港区西新橋2-6-2
ザイマックス西新橋ビル4F
開催日
2024年 7月 1日(月) 13:00~16:30
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受講料
1名につき 34,100円(税込)
同一のお申込フォームよりお申込の場合、2人目以降 27,500円(税込)
備 考
事前に、セミナー講師へのご期待、ご要望、ご質問をお受けしております。
可能な限り講義に盛り込んでいただきますので
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■ライブ配信について
<1>Zoomにてライブ配信致します。
<2>お申込時にご登録いただいたメールアドレスへ視聴用URLとID・PASSを開催前日までに
   お送り致しますので、開催日時にZoomへご参加ください。

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<1>開催日より3〜5営業日後を目安にVimeoにて配信致します。
<2>お申込時にご登録いただいたメールアドレスへ収録動画配信のご用意ができ次第、
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<3>動画は公開日より2週間、何度でもご都合の良い時間にご視聴頂けます。

※会場又はライブ配信受講者様で、アーカイブ配信もご希望の場合は
 追加料金11,000円(税込)で承ります。
 ご希望の場合は備考欄に「
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※複数名でお申込の際は、アーカイブ配信追加受講者様の各ご芳名を備考欄に
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7月 1日(月)

「EVシフト」は幻想だった!EV信奉メーカも戦略修正に動く

Touson自動車戦略研究所 代表 
自動車・環境技術戦略アナリスト
愛知工業大学 工学部 客員教授 
[元トヨタ自動車(株)] 博士(工学)
藤村 俊夫(ふじむら としお) 氏

13:00~16:30

[セミナー参加対象者]
・自動車関連企業の経営者、役員の方     ・自動車関連企業で技術・経営戦略を立案されている方
・自動車のCO2削減に興味のある若手技術者  ・気候危機に関心のある方

[セミナーで得られる知識]
・エコ社会実現に向けCO2低減は待ったなしの超緊急課題であり、自動車、電力セクターの責務は非常に大きいこと
・パリ協定自主目標、さらに厳しい国連気候行動サミットの目標を達成するために必要な、CO2基準強化の考え方
・新車のCO2は基準強化で対応し既販車の、CO2削減には炭化水素系のカーボンニュートラル燃料(drop in fuel)が必要であること
・電動車では、技術完成度とユーザーニーズを考慮するとHEV/PHEVが現実解であり、EVは超小型のLSEVと高級車で2極化すること

[重点講義内容]
地球温暖化による気候変動が、人類の生活に甚大な影響をおよぼし脅威を増す中、産業革命以降の平均気温は既に1.48℃上昇した。2019年9月の国連気候行動サミットにおいて、パリ協定で合意した『平均気温上昇2℃以下とし1.5℃を努力目標』では気候危機の連鎖を食い止めることはできないとの解析結果をもとに、『1.5℃以下必達』に改めることが各国に提案された。先進国、新興国の大半は、2023年に国連の研究機関であるIPCCの6次レポートで提示された『2030年までにCO2を2019年比で48%削減、2050年に排出ゼロ』をコミットしたものの、最大の排出国である中国や、インドは未だに見直しをおこなっていない。
持続可能な社会の実現に向け、CO2削減は待ったなしの緊急課題であることは自明であり、自動車産業のみならず、エネルギー、電力などすべての産業は環境改善と経済成長を目指した変容が必要になる。自動車は世界全体の排出量330億トンの内18%を占めるが、各国政府のEVシフトによる対応は「木を見て森を見ず」の偏った愚策とも言える。自動車のCO2削減は、新車のみならず既販車を含めた保有車全体が対象となる。そのため、あと6年という短い期間でCO2 48%削減というハードルは、2050年カーボンニュートラル達成よりもはるかに高い。2030年に新車の100%をEVにしても、保有車ベースで48%削減は不可能な上、LCAでカウントすればEVのCO2削減効果はHEVと大きな違いは無い。EVのCO2排出量が、HEVなどに比べはるかに少ないという大義は、既に崩壊しているのである。
自動車業界では、2016年くらいからCO2削減の手段として「EV(電気自動車)シフト」が叫ばれるようになった。理由は、中国におけるEV補助金の開始や、VW社のディーゼルゲートに端を発したEVへの大転換表明、欧米中のZEV規制強化だ。一方で、筆者は「走行中に排出ガスが出ないという理由で、電力の供給能力や排出係数、お客様にかける負荷(コストや航続距離他)など、多くの課題について詳細に分析することもなく、短絡的にEVを誘導することは愚策に他ならない」と述べてきた。ここにきて、その指摘内容がようやく現実味を帯びてきたように思える。EVはCO2削減目標達成の1手段となり得ても、救世主にはなれない上、顧客に価格を含め多くの負担を強いる製品であることを、多くの人々が気付き始めたのである。そこから、目を背けたがるのは、CO2削減に真剣に向き合わず、己の利害得失しか追求しない政治家達である。EV信奉メーカでさえも、企業の存続をかけ戦略を見直さざるを得なくなっているにも関わらずだ。
2030年までの6年間でCO2 48%達成するには、①新車のCO2基準を強制力のある規制とし削減率を大幅に強化する ②炭化水素系のカーボンニュートラル燃料(drop in fuel)の市場導入による、既販車を含めたCO2削減 ③電動車の全方位戦略(適時・適地・適車)、これら3つを、政府、自動車業界、エネルギー業界は一体となり、危機感をもって進めなければならない。本セミナーでは、「EVシフトの危うさ」を、事実に基づき検証するとともに、CO2削減に関わる課題と目標達成に向けての対応策および道筋を提示したい。

<第1章>CO2低減は待ったなしの緊急課題!
1.気候危機の連鎖がいよいよ始まる -世界各国での未曽有の自然災害の多発-
2.COP26における世界平均温度抑制目標の見直し(2.0℃→1.5℃以下)の理由
3.気候危機の連鎖とは? -メカニズムとそれを食い止めるためには-
4.世界各国・地域のCO2排出量推移 -コロナ下で5.8%減、しかしその後リバウンドしもとに戻る-
5.産業別CO2排出比率 -電力、運輸、製鉄で75%を占める-
6.2023年IPCC6次レポートでの報告内容 -2030年CO2 48%削減のハードルは非常に高い-

<第2章>電力のみならず燃料のカーボンニュートラル化なくして2030年までにCO2 48%削減は不可能
1. 化石燃料は有限 -迫りくる気候危機回避のためにも石油からカーボンニュートラル燃料への転換が必須-
2. 各国政府のエネルギー基本計画は、1次エネルギーを対象として検討すべき -燃料のカーボンニュートラル化も必要-
3.日本の2030年に向けた電力のグリーン化戦略では不十分 -再生可能電力の拡大は限界 NH3/水素混焼の拡大が必要- 
4. 自動車におけるCO2削減対象は、既販車を含む保有車、新車だけではない -カーボンニュートラル燃料の導入が必須-
5. 炭化水素系のカーボンニュートラル燃料(サステオ、e-fuelなどのdrop in fuel)の製造法と課題 -コスト、収量-
6. オフグリッドプラントとのでの合成燃料製造の必要性と構成 -DAC、再生可能発電装置、共電解装置、FT反応装置などを集約-
7. 水素キャリア(メチルシクロヘキサン)製造の重要性と技術動向 -ようやく動いたENEOS-

<第3章>各国政府の電動化戦略の思惑
1.CO2 48%削減に対し、各国、地域における新車のCO2基準値強化は妥当か? -実は現在の基準の2倍強化でも不十分-
2.各国政府の自動車の電動化表明とその思惑 -CO2削減よりも自国利益ファースト-
3.中国、欧州連合(EU)、米国政府の電動化戦略の違い(ZEV化など)とその裏を読む -唯一EVに盲目的に突き進むEU-
4.補助金に左右される中国、欧州のEV、PHEV販売 -EV、PHEVの販売は補助金頼みであることは明白 EVはいよいよ死の谷へ-
5.EVに傾注してきた中国政府が、HEV、PHEV拡大に舵切り -日本メーカに追い風、欧州メーカは逆風-

<第4章>世界の主要自動車メーカの電動化戦略
1.各国メーカの電動化表明とその裏を読む -エネルギー危機によりEV傾注に懐疑的になってきた欧州メーカ-
2.各国主要メーカの電動化戦略と現状の電動化比率 -欧州メーカでの目標との乖離は非常に大きくEV販売は伸びず-
3.HEVはガラパゴス技術か? -欧州、米国ではでは補助金の出るEV、PHEVよりも、補助金の無いHEVが売れる現実-
4.中国、欧州メーカがいよいよ本格的ストロングハイブリッド車を導入 -いよいよ始まるHEV開発の戦い-
5.予想どおり、EVは超小型LSEVとプレミアム(高級車)で2極化がすすみ、量販価格帯(ボリュームゾーン)では利益は出ない。
-テスラモデル2導入見直しとの報道、VWも利益のでないiD2は戦略見直しか?-

<第5章>自動車とdrop in fuelのあるべき将来戦略(顧客のニーズへの対応とCO2削減の両立)
1.世界の自動車のあるべきシナリオ(2018年〜2023年、2031年〜2050年 投入技術の道筋)
2.上記シナリオによるCO2 48%削減目標達成の可能性とCO2の年率削減率およびdrop in fuel燃料の導入比率
3.各国・地域(欧・米・日、中国、インドを含むグローバルサウス)ごとの自動車のセールスミックス(2030年)
4.2030年までの電動車の棲み分けと2031年から2050年での電動車の棲み分け

<第6章>まとめ
政府への提言と自動車産業が今後進めるべき施策

藤村 俊夫(ふじむら としお) 氏
1980年に岡山大学大学院工学研究科修士課程を修了後、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。本社技術部にて24年間、新エンジンの開発、エンジンのシステム部品設計に従事。2004年に基幹職1級(部長職)となり、将来エンジンの技術開発推進、パワートレーン戦略策定などを行う。2011年に愛知工業大学に転出し、工学部機械学科教授として機械設計工学、熱力学、自動車工学概論などの講義を担当。2018年4月京都市へ転居と同時に同大学工学部客員教授となり、Touson自動車戦略研究所を立ち上げ、自動車関連企業数社の顧問をはじめ、コンサルティング、執筆・講演活動を行う。
自動車技術会 代議員/論文校閲委員、機械学会会員。2003年「ディーゼルPM、NOx同時低減触媒システムDPNR」で日本機械学会技術賞受賞
著書に『EVシフトの危険な未来 2022年4月発刊』『カーボンニュートラルを実現する自動車・エネルギー産業のあるべき「経営・開発」2022年9月発刊』(共に日経BP)がある。
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