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資源セキュリティとしての〜レアメタルの需要・生産とリサイクルの実情〜

1月16日(金)
東京大学 副学長
生産技術研究所
持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター 教授
岡部 徹(おかべ とおる) 氏
近年、脱炭素化社会を目指した動き、たとえば、自動車の電動化や再生エネルギーの利用拡大などに伴い、“世界規模でレアメタル需要が急増”しており、レアメタルの精錬やリサイクルに関する新技術の開発の重要性が一段と高まっている。また、ウクライナ危機に端を発した東西の分断により、ロシアや中国等の国からのレアメタルの供給が途絶する可能性も危惧されているため、資源セキュリティの観点からも、レアメタルのサプライチェーンの多様化に加え、リサイクルの重要性が再認識されている。一方で、レアメタルの採掘・精錬に伴い、海外では自然環境の破壊が進んでいる。
本講演では、レアアースをはじめとするレアメタルの需要や生産などに関する現状と課題について概説し、レアメタルに対する誤解や偏見、さらには、日本では知ることが出来ない“裏の問題”についても紹介したい。レアメタル供給、とくにレアメタル資源のボトルネックやリサイクルの問題点、最近話題のレアメタルのリサイクル技術について、いくつかの事例を選んで紹介するとともに、関連する環境問題や経済合理性等のジレンマ、リサイクルを実施する場合の問題点についても解説したい。
1.レアメタル概論
2.走るレアメタル(自動車用レアメタル)
3.米中対立がもたらすレアメタルのサプライチェーンへの影響
4.レアメタルの採掘や製錬に伴って生じる環境破壊
5.レアメタルの採掘・製錬・リサイクルに関するボトルネック
6.質疑応答/名刺交換


1965年 京都市生まれ。ロンドン日本人学校、筑波大学附属高等学校を経て、1988年 京都大学工学部冶金学科卒業。同大学院博士課程へと進み、チタンなどのレアメタルの精錬に関する研究で1993年に博士号を取得。その後、日本学術振興会海外特別研究員として渡米、マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士研究員として約3年間留学。東北大学素材工学研究所 (現:多元物質科学研究所) の助手として5年間勤め、2001年に東京大学生産技術研究所の助教授として着任。准教授を経て、09年に教授に就任した。2012年度からは、東京大学大学院 総合文化研究科 附属国際環境学教育機構(GPES)の教授も兼務している。2014年度は、東京大学 総長補佐を務め、2015年度〜2018年度まで、生産技術研究所 副所長、2019年度〜2020年度まで、東京大学 副学長。2021年度〜2023年度 生産技術研究所 所長。2024年度から渉外、安全保障など担当の東京大学 副学長。
専門分野は、材料化学、環境科学、循環資源工学、レアメタルプロセス工学。35年以上、一貫してレアメタルの研究に取り組んでいる。“プロセス技術がレアメタルをコモンメタルに変える”ことを夢見て、チタンなどの新製錬技術の開発を行っている。最近は、PGM(白金族金属)、レアアース(希土類金属)、ニオブ、タンタル、ガリウム、タングステン、レニウムなどのレアメタルの製造プロセスや新規リサイクル技術、環境技術の研究も行っている。
