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排出量取引制度(フェーズ2)の制度設計と企業活動への影響
〜欧州排出量取引制度との比較で明らかにする
GX-ETSの特徴と今後の展開〜

12月22日(月)
京都大学公共政策大学院 教授
経済産業省産業構造審議会「排出量取引制度小委員会」 委員
諸富 徹(もろとみ とおる) 氏
2023年5月にGX推進法が可決され、2023年から排出量取引制度(GX-ETS)のフェーズ1、2026年からGX-ETSのフェーズ2、そして2028年からは炭素賦課金が導入されることが決まった。これにより、日本でも本格的にカーボンプライシングが導入されることになった。
現在、経済産業省はGX-ETSの強化を目指してフェーズ2の制度設計を議論しているところである。講師も委員として参画しており、本講演もそこで行われている議論を盛り込んだ内容としたい。同時に、GX-ETSはEU-ETSなど経済理論に比較的近い形で制度がつくられた「キャップ&トレード」とは異なる特徴をもっている。本講演では、EU-ETSと比較しつつ、GX-ETSの特徴を明らかにし、受講者の理解に資することを目指す。
講演の構成は下記のようになっており、カーボンプライシングや排出量取引に関する前提知識がなくても内容が理解できるように、カーボンプライシングの基礎から入ってGX-ETSの制度設計論へと移っていく。質疑応答の時間も充実させ、受講生の方々の疑問点にも丁寧に答えるようにしたい。
1.カーボンプライシングの基礎
(1)カーボンプライシングとは何か
(2)その経済成長への影響
(3)世界のカーボンプライシング
(4)諸外国の事例:イギリスおよびドイツ
2.カーボンプライシング設計上の重要論点
(1)炭素税
(2)排出量取引制度
3.GX推進法とカーボンプライシング
(1)GX推進法の意義
(2)GX推進法における日本のカーボンプライシングの全体像(2030年代に向けて)
4.モデルとしての欧州排出量取引制度(EU ETS)
(1)EU ETSの制度解説
(2)その理論と実際、EUは課題をどう克服したのか?
5.GX-ETSの制度設計
(1)GX-ETSの制度解説
(2)制度設計上の主要論点
(3)EU ETSとの比較におけるGX-ETSの特徴
(4)EU ETSの経験から日本は何を学べるのか
(5)GX-ETSの産業影響
6.質疑応答


1998年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了(博士(経済学))、横浜国立大学経済学部准教授、京都大学大学院経済学研究科教授を経て2025年4月より現職。環境経済学をベースに、カーボンプライシングや再生可能エネルギー政策、電力市場のあり方を研究。主著に、『環境税の理論と実際』(有斐閣、2000年)、『脱炭素社会と排出量取引』(日本評論社、共編著、2007年)、『低炭素経済への道』(岩波新書、共著、2010年)、『脱炭素社会とポリシーミックス』(日本評論社、共編著、2010年)、『入門 地域付加価値創造分析』(日本評論社、編著、2019年)、『入門 再生可能エネルギーと電力システム』(日本評論社、編著、2019年)、など。環境省中央環境審議会「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」、内閣官房「カーボン・プライシング専門WG」、経産省「排出量取引制度小委員会」など、国・自治体の政策形成にも多数参画。
