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日米の次世代スマートメーターの進化と展望-米国AMI 2.0との比較にみる制度設計とビジネスインパクト-
7月 1日(火)
クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
再生可能エネルギーの普及と分散型電源の拡大に伴い、エネルギーインフラの柔軟性と即応性が強く求められている。その中核を担うのが、次世代スマートメーター(AMI 2.0)である。本講演では、日本における次世代スマートメーターの技術的要件や展望を解説するとともに、米国において標準化が進む「AMI 2.0(Advanced Metering Infrastructure 2.0)」との比較を通じて、その本質的な違いや導入意図を明らかにする。
通信方式、データ分解能、リアルタイム制御能力、エッジインテリジェンスなどの観点から、両国のスマートメーターアーキテクチャを構造的に比較し、再エネ・インバーター・PPA・アグリゲーターといった関係事業者にとっての導入意義と課題を明示する。特に、IEEE 2030.5などの通信規格と連携した制御応用例は、日本における今後の制度設計にも大きな示唆を与える。
AMI 2.0がスタートしたばかりであるが、米国では、2030年ごろの本格展開を目標にAMI 3.0の段階的な導入計画を進めている。連邦レベルではDOE(エネルギー省)が2024年に発表したGrid Modernization Initiativeにおいて、AMI 3.0技術を次世代配電網の中核要素として位置づけている。
AMI 2.0とAMI 3.0の共通目標である、需給調整市場・容量市場・DR市場といった新たな市場設計と、スマートメーターを通じたデータ連携・制御信号活用によるグリッドの安定化の方向性が徐々に明らかになってきており、事業者にとっての新たな収益源の可能性が見えてきた。
このセミナーでは、米国在住40年の講師が、次世代スマートメーターを単なる計測機器ではなく、「分散型エネルギー社会を支える基盤インフラ」として再定義し、各業界プレイヤーが戦略的に取り組むべき方向性を提示し、ビジネス変革の具体的ビジョンを共有する。
1.背景と基礎
(1)スマートメーターの定義と進化
(2)現在のスマートメーター vs 次世代スマートメーター
(3)日本と世界のスマートメーター導入経緯
(4)次世代スマートメーターの要件
(5)双方向通信(Push型とPull型)
(6)瞬時値、高頻度計測、DR対応
(7)メーターの自律制御機能(Edge intelligence)
(8)セキュリティ
(9)FEMS/BEMS連携と分散制御のニーズ
2.日米比較
(1)アーキテクチャ比較・通信方式比較
(2)メータデータ管理(MDMS)比較
(3)ヘッドエンドシステム(HES)比較
(4)政策・規制環境の比較
(5)米国でのFERC/NARUCの位置づけ
(6)日本はガラパゴス化するのか
3.ユースケースと産業影響
(1)再エネ・インバーター業者における活用例
(2)メーター経由のリアルタイム出力制御
(3)インバーター制御とIEEE 2030.5連携のメリット
(4)データ活用ビジネスと消費パターン分析(Non-Intrusive Load Monitoring)
(5)AI/MLによる予測制御
4.AMI 3.0
(1)AMI3.0で目指すものは
(2)スマートインバーターとの統合型エネルギー制御アーキテクチャ
(3)「ユニバーサル・スマートグリッド基準」
5.先進事例
(1)ITRON
(2)EDF
(3)Tantalus
(4)Bidgely
(5)SCE(Sothern California Edison)
6.質疑応答/名刺交換
※プログラムは最新状況に応じて変更する場合があります
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、データセンターの電力問題、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに40年在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
調査レポート 『日米のデータセンター ビジネスと技術の最新動向2025』
https://www.ssk21.co.jp/R0000103.php?gpage=07V0005