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中国自動車市場、EVシフトの最前線-市場・勢力図・産業構造等の変化/電池の争奪戦/日本企業の対応-
7月 9日(金) 終了済
上海工程技術大学 客員教授
湯 進(たん じん) 氏
新型コロナウイルスの感染封じ込めでいち早く立ち直った中国は、電動化シフトを加速することにより世界の自動車産業の構造を変革しようとしている。中国は2060年までに中国の温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指すと表明し、従来の内燃機関車を2035年に全廃する方針だ。
中国政府は補助金の支給などでEV市場の拡大を果たしたが、充電インフラ、電池の品質問題が依然残り、一般の消費者への販売拡大にまでは至っていなかった。しかし、上海で生産し始めたテスラ「モデル3」が、中大型・高級EVブームが起き、「宏光MINI」が価格破壊を起こし、小型・格安EVという新たなトレンドが生まれた。2021年4月に開催された上海モーターショーで、日米欧自動車メーカーや新興EVメーカーに加え、大手IT・インフラ関連企業もEV業界に参入し、中国電動化シフトの潮目が変わる可能性が一気に高まっている。
一方、中国政府が、乗用車メーカーに義務づけられている新エネルギー車(NEV)規制及び燃費規制(CAFC目標)の「ダブルクレジット規制」を実施しているなか、日系自動車メーカーは、揃って中国での2020年度目標が未達成で、NEVシフトを急ぐ必要がある。
本講義は中国の現場で得た生の情報を活用して、表と裏から中国自動車市場の最新動向について解説し、中国の電動化シフトの実態を明らかにしたうえで、日本企業の中国ビジネスを展望する。
1.電動化の潮流 〜脱炭素、市場の変化、技術・産業構造の変化
2.アフターコロナの中国新車市場 〜消費嗜好の変化、勢力図の変化、業界再編
3.中国の電動化シフト 〜ダブルクレジット規制、EV需要の特徴、トレンドの変化
4.電池の争奪戦 〜電池需要の変化、大手電池メーカーCATL、BYDの動向
5.異業種・大手テック企業の参入 〜自動運転、コネクテッドカー、水素自動車
6.日本企業への示唆
7.質疑応答/名刺交換
※論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です
専修大学社会科学研究所客員研究員、みずほ銀行法人推進部主任研究員、博士(経済学)。
みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、中国自動車メーカーや当局とのネットワークを活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)、『2030中国自動車強国への戦略』(日本経済新聞出版社、2019年)など著書多数。関連情報はこちら(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)