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転機に立つドイツ自動車業界〜野心的なBEV普及政策に立ちふさがる障壁〜
5月22日(水) 終了済
在独ジャーナリスト
熊谷 徹(くまがい とおる) 氏
ドイツ政府の購入補助金により、2023年には約52万台のBEVの新車が登録された。2019年からの4年間で、BEVの新車登録台数は約8.7倍に増えた。しかし今この国のBEV業界に重苦しい空気が漂っている。
ショルツ政権の過去の予算措置が連邦憲法裁判所によって違憲と判定されたため、2024年度予算に2兆円を超える不足分が生じた。政府は歳出削減のために、2024年末まで支給が予定されていたBEVの購入補助金を、2023年12月に突然廃止した。自動車業界では「BEV普及政策に逆行する」という不満の声が強まり、2024年のBEV登録台数は、25万台減るという予想が出ている。ドイツのBEVは高価格のために売れ行きが伸びず、使用されている乗用車数に占める比率は約2%に留まっている。
中国企業は割安のBEVで欧州市場でのシェア拡大を図る。ドイツはEUに2035年以降も合成燃料(Eフュエル)を使う新車の販売を認めさせようと努力してきたが、EUは技術的に困難な条件を突き付けドイツに衝撃を与えた。
34年間にわたりドイツに住み、欧州経済について記事や本を発表している元NHKワシントン特派員が、ドイツ自動車業界の最新の状況を報告する。
1.ドイツのBEVを取り巻く状況(新車登録状況、充電インフラ)
2.ショルツ政権がBEV購入補助金を突然廃止
3.背景に、連邦憲法裁判所の違憲判決
4.補助金廃止に対する業界の怒りの声
5.欧州に攻勢をかける中国のBEVメーカー
6.欧州自動車工業会は、BEVに固執。「後戻りはあり得ない」
7.合成燃料をめぐりEUが高いハードルを設定。実用化は絶望的か
8.ドイツ自動車業界のデジタル連携カテナ-X・アップデート
9.質疑応答
※プログラムは最新動向を踏まえ変更する可能性があります。
元NHKワシントン特派員。1990年以降はフリージャーナリストとしてドイツを拠点に、政治、経済、社会に関する記事を発表。主な連載媒体は日経ビジネス電子版、新潮社フォーサイト、毎日新聞出版エコノミスト、日刊工業新聞、日経ESG、電気新聞など。著書に「メルケルはなぜ転向したのか」(日経BP)、「偽りの帝国・VW排ガス不正事件の闇」(文藝春秋)、「日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ」(洋泉社)、「ドイツ人はなぜ、年収アップと環境対策を両立できるのか」、「次に来る日本のエネルギー危機」(青春出版社)など多数。「ドイツは過去とどう向き合ってきたか」(高文研)で2007年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞受賞。
連載中の主なメディア:日経ビジネス https://business.nikkei.com/article/person/20130321/245387/
週刊エコノミスト https://weekly-economist.mainichi.jp/%E8%AB%96%E5%A3%87%E3%83%BB%E8%AB%96%E8%AA%BF/
新潮社フォーサイト https://www.fsight.jp/search/author/%25%E7%86%8A%E8%B0%B7%E5%BE%B9%25
日経ESG、朝日新聞社 SDGs Action !、日刊工業新聞、保険毎日新聞。