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ネットゼロエミッションに向けG7の中で最も先行する英国〜国、産業、企業、消費者各レベルにおけるプログレスと日本からの投資〜
4月 9日(火) 終了済
ロンドン・リサーチ・インターナショナル 取締役会長
津村 照彦(つむら てるひこ) 氏
英国は2019年にG7の中で最初に2050年までのネットゼロエミッション達成を公約した。2023年には同様にG7の中で初めてエミッションを(1970年代の)ピークレベルの半分に削減した。同国が公約通りに2050年までのネットゼロを実現できるか否かは、定かではないが、他のG7の国々と比較して明らかに先行している。その背景には、ネットゼロ達成のための優れた制度的フレームワーク、エビデンスベースの明確な政策、政策実現のためのプロアクティブでイノベーティブな戦略など様々な要因があると言える。
本講演では先行する英国の法制度フレームワークそして政策立案の(上位)レベルから、産業界のアクション計画、個々の企業のグリーンビジネス、更には消費者の意識・行動変化のレベルまで、英国の政治経済社会システムを垂直的に分析する。現行の制度的フレームワークがつくられたのは2008年である。その時から、そしてネットゼロ公約年である2019年から、それぞれのレベルで、どのようなプログレスがあったのかを、レビューする。
日本は1990年比で英国の48%とは対称的に8%程度しか削減できていない。この日英の差は法制度、政策の不備・遅延、そして特に電力セクターの改革が骨抜きにしかできていないことに大きく起因していると言える。これらは今後ますます、日本のネットゼロの足かせとなると考えられる。本講演ではこのような日英の違いについても言及する。日本企業が世界市場で活躍するためには、日本の現状を正確に理解すると共に、世界の動きの速さを把握しておくことが必要である。
本講演の最後に、英国市場における日本からの投資について、いくつかのテクノロジー分野を例にとり、その目的と傾向を解説する。
1.エミッション削減の軌跡と目標までの軌道:飴と鞭そしてコスト
2.国レベル:法制度のフレームワーク
3.政策:当初と現在の(最小コスト)ネットゼロシナリオ
4.戦略:セクター・テクノロジー別、再生可能エネルギー、バッテリー、CCUS、水素、DACなど
5.産業レベル:アクション計画とその進捗
6.企業レベル:特筆すべきグリーンビジネスと意識調査
7.消費者レベル:特筆すべき消費者行動と意識調査
8.日本からの投資
9.質疑応答/名刺交換
エネルギー専門家(企業戦略、プロジェクトのフィージビリティー分析)。ニューヨーク国連本部でのインターンシップ後、1989年より当時のパシフィックコンサルタンツインターナショナルにて電力・ガスプロジェクトの計画、フィージビリティスタディ等にエネルギーエコノミスト・プロジェクトマネジャーとして従事。アジア、CIS、中東、アフリカ、中南米の約30カ国で業務を遂行。その間、日本政府のコンサルタントとしてOECD、世銀等の国際会議に参加。従事したプロジェクトの例としてウクライナ電力セクターの改革、タイ、CISにおけるガスパイプライン建設計画、オマーンにおけるガス火力発電・淡水化プラント建設計画、インドネシアにおける水力発電所建設計画等がある。2001年に英国に移住し、同年、津村アソシエイツ設立。2003年にロンドン・リサーチ・インターナショナル設立。欧州、北米、アフリカを中心に、様々なリサーチ・コンサルティングプロジェクトに従事。再生可能エネルギー、エネルギー小売、アフリカへの投資、テクノロジー等に関するビジネスレポートを出版。現在は主に日本企業に戦略アドバイスを行っている。