■概要■
「おいしさ」に絶大な差を生じさせる「調理」!
調理の工程を科学し、安定した匠の技を提供するための書!!
・「レシピ」「食材」「切る」「加熱処理(煮る、蒸す、炒める、揚げる)等」、調理の各工程におけるおいしさの秘密を、科学的に解説!
・調理機器の活用法も解説!(オーブン、電子レンジ、過熱水蒸気、3Dフードプリンター等)
・様々な調理方法についても多数詳解!(低温調理、真空調理、分子調理等)
【第1編 調理科学】
<1>調理科学の意義
1.調理科学の研究テーマ
・はじめに
・食品を安全なものにするための調理
・食品をおいしくする調理
2.調理科学とエネルギー代謝
・はじめに
・食物のエネルギーと調理
・調理作業によるエネルギー消費
・まとめ
3.食品の調理過程における嗜好性および健康増進機能の変化
・はじめに
・炭水化物および炭水化物を多く含む食品
・タンパク質およびタンパク質を多く含む食品
・脂質および油脂食品
・ビタミン,ミネラル,およびこれらを多く含む食品
4.時間栄養学と調理科学
・はじめに
・体内時計と食事
・体内時計とインスリン
・調理による栄養価の変化と食べる時間帯
・時間栄養学的朝食が引き起こす効果
・まとめ
<2>調理科学の方法論
1.調理工学とシミュレーション
・はじめに
・調理への物理・工学的取り組み
・シミュレーションに向けた物理現象の記述
・調理シミュレーション分野における新しいアプローチ
・今後の課題
2.調理科学分野におけるおいしさの見える化の活用
・はじめに
・加熱効果--葉物野菜をゆでる
・だし(いりこ)の取り方
・固形素材によるすいとんの汁の変化と佃煮調理時の素材の大きさの影響
・混捏効果--うどん生地の足踏みにおける適性回数
・コメのブレンド効果
・材料含量の影響
3.食べ物のおいしさを引き出すコクの活用と定量化
・はじめに
・食べ物のおいしさ
・食べ物のコクの定義
・コクの3要素とその定量化
・調理過程におけるコクの活用・制御方法
4.食材の調理効果に関連した酵素活性
・調理における酵素の役割
・麹調味料の酵素活性
・野菜の酵素活性
・果物の酵素活性
・きのこの酵素活性
・穀物の酵素活性
・魚介類の酵素活性
・食肉の酵素活性
・低温調理法の展望
<3>調理技能の解析とその応用
・はじめに
・調理者の動作解析
・調理者の視線解析
・調理技能解析による調理ロボットへの応用
・調理技能解析による調理支援への応用
・おわりに
【第2編 料理の準備・下処理】
<1>レシピ開発
1.Food Transformation(FX):おいしさのシステムデザインと調理レシピ設計
・はじめに
・システムデザインのアプローチから捉えるおいしさの創出
・SEの主要プロセスとおいしさのシステムデザイン
・おいしさのシステムデザインと専門性エンジニアリング
・おいしさのシステムデザインとFood Transformation(FX)
・おわりに
2.食品ロスを最小化するレシピ推薦方法
・はじめに
・記号などの定義
・動的計画法によるレシピ推薦アルゴリズム
・レシピ推薦の具体例
<2>食材の切り方とおいしさ
1.包丁の切れ味測定方法
・はじめに
・切れ味測定装置と包丁試料
・本実験における切れ味測定結果のばらつき
・刃先の角度と切れ味測定結果
・刃先の硬さと切れ味測定結果
・おわりに
2.切断操作が食材へ及ぼすダメージ評価
・はじめに
・切断操作-押し切りと突き切り-
・包丁の切れ味の定量化
・タマネギ切断における切断エネルギー
・切断面の状態と水分流出
・タマネギ切断におけるピルビン酸生成量
・まとめ
3.日本料理「桂むき」の剥き方技術
・はじめに
・桂むき
・熟練者と非熟練者による「桂むき」の剥き方の実際(事例)
・まとめ
【第3編 加熱処理・調理とおいしさ】
<1>加熱調理の特徴
1.加熱調理品の調理特性
・加熱調理の特徴
・加熱調理品の調理特性
2.食品加熱操作における熱・水分移動
・はじめに
・食品加熱操作における伝熱
・食品加熱操作における水分移動
・収縮を伴う系での物質移動-ダルシーの法
・まとめ
3.熱移動に基づく反応を考慮した食品の品質予測
・はじめに
・タンパク質変性の予測
・呈味成分の予測
4.減圧鍋による加熱調理の特徴
・減圧鍋とは
・減圧鍋のしくみ
・減圧調理と常圧調理との比較
・おわりに
5.ジュール加熱を利用した高品位食品加工技術の実用化
・はじめに
・ジュール加熱の原理と特徴
・食品加工への応用
・新しい加熱法の紹介-プログラムジュール加熱法
・おわりに
<2>炒め調理とおいしさ
1.炒め調理の熱伝達とおいしさ
・はじめに
・炒め調理過程の理論的考察
・静止バルクの伝熱特性
・炒め調理の伝熱計算
・おわりに
2.炒めタマネギの香気成分
・はじめに
・炒めタマネギに含まれる香気成分
・炒めタマネギの香気成分解析
・まとめ
3.ガス加熱とIHの違いが炒め調理に及ぼす影響
・IH(電磁誘導加熱)の特徴
・炒め調理の場合のフライパンの温度分布
・炒め料理への影響
<3>揚げ調理とおいしさ
1.植物油の相違と揚げ物の風味・おいしさへの影響
・はじめに
・植物油と揚げ物との関わり
・植物油の種類
・植物油の風味が揚げ物に及ぼす影響
・揚げ物の用途ごとに求められる油の特性
・揚げ調理と炒め調理
2.鶏唐揚げのおいしさの官能評価
・はじめに
・揚げ物のおいしさ
・揚げ物の官能評価
・鶏肉の栄養成分
・鶏唐揚げの栄養成分
・鶏唐揚げのおいしさ
・鶏唐揚げの外観と含水率の変化
・鶏唐揚げのおいしさの変化
・まとめ
<4>煮物調理とおいしさ
1.根菜類の調理過程の物性変化と調味
・調理過程の根菜類のテクスチャー変化
・根菜類の調味
・根菜類の煮物調理における余熱の利用
2.煮物調理における鍋容器内での煮汁の熱対流現象
・はじめに
・解析モデルと基礎方程式
・実験
・数値解析
・まとめ
3.煮大豆の物性・嗜好性および咀嚼性
・はじめに
・煮大豆の物性,嗜好性および咀嚼性について
・煮大豆の成分変化について
・まとめ
<5>蒸し調理とおいしさ
1.野菜の蒸し調理における嗜好特性
・はじめに
・カブ
・キャベツ
・おわりに
2.蒸し羊羹の物理特性および食嗜好性
・蒸し羊羹とは
・蒸し羊羹の調製方法
・つなぎが蒸し羊羹の物理特性に及ぼす影響
・つなぎの種類と配合が蒸し羊羹の食嗜好性に及ぼす影響(官能評価)
・食嗜好性に合わせた蒸し羊羹づくりと食文化継承
<6>オーブン調理とおいしさ
1.スチームコンベクションオーブンによるカボチャの煮物調理の特性
・はじめに
・試料および加熱条件
・テクスチャー解析
・調味成分の拡散
・まとめ
2.スチームコンベクションオーブンによる嗜好性の高い焼き魚の調製
・スチームコンベクションオーブンを用いた魚調理
・研究の概要
・まとめ
<7>電子レンジ調理とおいしさ
1.電子レンジを活用した時短調理
・電子レンジの誕生と進化
・マイクロ波の加熱原理
・誘電損失係数と電波の浸透の深さ
・電子レンジとオーブンで加熱したいも類の昇温図
・マイクロ波加熱による各種食品の昇温モード
・電子レンジ加熱法の用途
・電子レンジ加熱法の利点と欠点
・消費エネルギー量の比較
・電子レンジの調理実習への活用事例とおいしさ評価
・熱伝導加熱法と異なる物性変化
2.電子レンジによる食品のマイクロ波加熱研究の動向
・はじめに
・電子レンジによる食品加熱
・半導体式による食品加熱の将来
3.電子レンジ調理における伝熱および反応解析-サツマイモを例として-
・はじめに
・サツマイモの加熱変化
・デンプンの糊化およびマルトース生成に関する反応速度論モデル
・電子レンジにおける伝熱
・電子レンジ加熱における
温度シミュレーションとマルトース生成量の予測
<8>過熱水蒸気調理とおいしさ
1.食品加工における過熱水蒸気利用
・はじめに
・過熱水蒸気利用の基礎
・食品加工における水蒸気利用
・おわりに
2.アクアガスを用いた高品質食品加工技術
・はじめに
・アクアガスの特性
・食品加工への応用展開
・アクアガス加熱システムの改良
・まとめ
3.過熱水蒸気処理を用いたドライフルーツの製造技術
・はじめに
・水蒸気加熱処理による高品質なドライフルーツの開発
・まとめ
<9>低温調理とおいしさ
1.牛肉の低温調理加熱特性とその評価
・食肉の低温加熱調理
・牛肉の低温加熱調理特性
・まとめ
2.誘電型加温を用いた低温調理と一般生菌の殺菌効果
・はじめに
・誘電型加温による食材の加熱原理
・誘電加温による食材の加熱
・誘電加温による殺菌能
・まとめ
3.低温調理による食品の物理化学および官能特性
・低温調理の歴史
・低温調理による食肉の物理化学特性
・低温調理による食肉の官能特性
・低温調理による食品の栄養成分
・低温調理による食品の安全性
・低温調理の未来
<10>真空調理とおいしさ
1.ジビエの真空低温調理
・ジビエの定義
・ジビエの有用性と危険性
・ジビエの調理
・今後の展望
2.真空調理における加熱温度とおいしさ
・はじめに
・真空調理の基本
・加熱温度と時間
・加熱温度によるテクスチャーや成分の変化とおいしさ
・まとめ
3.真空低温調理による食品の品質変化
・はじめに
・真空調理法
・真空フライ法
・まとめ
<11>分子調理とおいしさ
1.分子調理とおいしさの創造
・はじめに
・調理の世界における科学の導入
・料理人からみた「科学」
・科学者からみた「調理」
・調理における科学と技術の循環
・料理人と科学者に求められているもの
・分子調理学との分子調理法
・調理の温故知新
・調理をミクロとマクロの視点から見ること
・調理における科学的世界観
・3Dフードプリンターを支える分子調理学と分子調理法
・おわりに
2.アルギン酸ナトリウムを使った調理技術球状形成への提言
・基本技術
・基本技術の逆の発想の球状形成
・逆の方法での球状形成の技術的応用
・さらなる応用
・さらなる展開
・おわりに
3.分子調理の基礎技術エスプーマの活用事例と嗜好性
・分子調理の基礎技術
・エスプーマとは
・エスプーマの原理
・食品添加物としての亜酸化窒素と二酸化炭素(炭酸ガス)
・エスプーマを利用した料理と嗜好性
・高齢者食としてのエスプーマの活用
・学習材としての分子調理基礎技術の活用
<12>3Dプリンターによる調理とおいしさ
1.3Dフードプリンターの最新動向
・はじめに
・3Dフードプリンターの黎明期
・研究開発の最新動向
・社会実装の最新動向
・3Dフードプリンターに求められる未来像
2.3Dプリンターによる和菓子の製作
・伝統文化としての和菓子
・菓子型を用いた和菓子(練り切り)の造形
・3DCADおよび3Dプリンターを用いた菓子型づくり
・3DCAD・3Dプリンターを用いた
練り切りの型製作の方法と練り切りづくり
・中学校での実践:
3Dプリンターを用いた練り切り型設計・製作と練り切りづくり
・食文化継承のために
3.3Dフードプリンターの応用技術開発とテクスチャー
・3Dフードプリンターの特徴
・3Dフードプリンターの課題
・汎用性フードインクの開発とテクスチャー
・様々なフードインク
・まとめ
■監修■
山野 善正