〈続〉化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集
■ポイント■
・大好評の前書から約10年!最新知見・最新技術を反映し、内容を大幅にアップデート!
・総論・各論の2部構成!非侵襲評価法・網羅的解析技術・動物実験代替法から、in vitro /ex vivo評価法まで収載!
・化粧品の有用性・安全性評価を実践的に学べる研究者・技術者の皆さま必携の一冊!
■概要■
本書は、2015年に発刊した『化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集』の改訂版として企画されたものです。前書の発刊以降、顕在化している現象を非侵襲的に可視化する手法や、網羅的に解析する技術が一般化するなど、著しい技術的進歩が見られました。また、化粧品・医薬部外品を取り巻く環境においては、2009年のEU化粧品指令第7次改正を契機とした動物実験禁止への対応が進み、多くの動物実験代替法が開発され、OECDガイドラインとして整備されてきました。さらに日本においても、これらの代替法に基づくデータを、新規素材の承認申請における安全性評価データとして活用する動きが進みつつあります。一方で、有用性評価の分野においては、動物実験禁止の影響は依然として大きく、素材評価は主としてin vitro評価系-すなわち単層培養細胞や再生皮膚モデルを用いた評価-に依存しているのが現状です。
これらのin vitro評価系は、素材の有用性を見極める上では有効であるものの、ヒト皮膚に適用した際の効果(in vivo効果)を保証する適用濃度を検証することは困難です。近年では、このin vitro評価とin vivo効果の乖離を補完する手法として、ヒト摘出皮膚を用いたex vivo評価の重要性が認識されつつあります。
さらに、医薬部外品領域においては、「シワを改善する」という抗シワ効能・効果が承認されました。国際的にも、化粧品の有用性評価の概念はアンチエイジングからlongevity(長寿)へと広がりを見せています。そこで本改訂版では、総論として、これらの科学技術の進展に伴う非侵襲的評価法、網羅的解析技術、安全性評価における動物実験代替法の現状に加え、角層、色素斑形成、皮膚老化に関する最新知見を整理しました。さらに各論では、新たに注目されているin vitro評価
およびex vivo評価に関する各種実験手法について、その原理を含め、操作方法をわかりやすく解説しています。本書が前版とともに、化粧品開発に携わる研究者の皆様にとって、有用性および安全性評価に関する方向性の立案、実験の実施の一助となれば幸いです。
<総論>
第1章 最近の角層研究の動向
1 はじめに 角層の恒常性
2 プロテアーゼとpH
3 Corneocyte lipid envelope形成メカニズム
4 おわりに
第2章 最近の色素斑形成研究の動向
1 序論:色素斑研究の変遷
2 表皮-真皮クロストーク
3 細胞老化と炎症:SASPと「炎症性老化」の影響
4 細胞内ロジスティクス:輸送と分解のメカニズム
5 新たな外的・内的因子:ブルーライト,大気汚染物質,神経
6 結論:今後の展望
第3章 最近の皮膚老化研究における動向
1 はじめに
2 個体老化のホールマーク
3 皮膚の老化,見た目の変化
4 細胞老化
5 細胞老化と皮膚老化,見た目の変化との関連性
6 最近の抗老化の方向性 老化細胞の制御
7 まとめ
第4章 初心者に役立つRNA-seq解析-得られたデータから何ができるのか?-
1 はじめに
2 RNA-seq
3 Rを用いた各種統計解析
第5章 イメージング質量分析技術の皮膚への展開
1 はじめに
2 イメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry,IMS)
3 IMSの基本原理と測定フロー
4 ナノ微粒子支援型質量分析(Nano-PALDI)
5 IMSの応用事例
6 まとめ
第6章 化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスの留意点
1 はじめに
2 OECDで採用されている置き換え試験
3 置き換え試験とその利用上の留意点
4 まとめ
<各論>
第1章 角層・表皮分化関連実験法
1 角層タンパク質定量法
2 SH基とSS結合の多重蛍光ラベル
3 角層細胞のデスモグレイン1(DSG1)の可視化 免疫染色
4 角層細胞タンパク質の官能基の蛍光ラベル 官能基の可視化
5 角層細胞の疎水性評価法
6 角層細胞コーニファイドエンベロープの成熟度の評価
7 2D培養表皮細胞,再生表皮モデルの分化マーカータンパク細胞免疫染色法
8 正常ヒト表皮角化細胞を用いた17型コラーゲンの検出法:ウエスタンブロット法と免疫蛍光染色法
9 表皮角化細胞が産生する基底膜構成成分Ⅳ型,Ⅶ型コラーゲン,ラミニン332の定量法
10 三次元培養表皮モデル中のセラミド分析法(LC/MS/MS法)
11 培養表皮細胞のタイトジャンクション関連タンパクの細胞免疫染色と機能測定法
12 培養表皮モデルを用いたTEWL計測方法(Tewitro)
第2章 抗炎症関連実験法
1 皮膚微弱炎症を反映する角層IL-1ra/IL-1α比の測定
2 過酸化スクワレンにより誘導される薄毛原因物質PGD2産生抑制作用の評価法
第3章 色素関連実験法
1 メラノソーム移送阻害評価法
2 色素細胞からのメラノソーム単離法
3 表皮細胞内におけるメラノソーム分解実験法
4 ヒト摘出皮膚と皮膚モデルの紫外線による黒化誘導
第4章 抗老化研究実験法
1 老化線維芽細胞の調製法(H2O2およびUVA)
2 老化細胞除去作用の評価(Senolysis)
3 コラーゲン取込受容体:Endo180産生促進作用の評価法
4 弾性線維形成と可視化法
5 Ⅰ型コラーゲン線維形成と可視化法
6 糖化処理した線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲン産生低下を抑制する素材の評価法
7 摘出皮膚のⅠ型コラーゲン新生評価法
第5章 抗酸化関連実験法
1 細胞内活性酸素の測定法
2 細胞内抗酸化システムの増強作用の評価法Nrf2活性化から細胞内グルタチオンの定量
3 マロンジアルデヒド(MDA)を用いたタンパク質のカルボニル化とその定量法
4 角層細胞のAdvanced glycation end products(AGEs)染色法
5 タンパク質のニトロ化とその定量
第6章 心理的ストレス関連実験法
慢性ストレスモデルにおけるコルチゾール存在下のタイトジャンクション
形成能評価
第7章 安全性関連新規代替法
Amino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)
■監修■
正木 仁
■発行年月■
2026年5月29日