〜2020年度におけるセルラーキャリアのLTE-A/5Gインフラ戦略及び
投資動向と周辺部材市場をキャリアやベンダ、エンジ会社など多角的な視点から総合的に分析〜
■概要■
セルラーキャリア各社の2020年度決算をみると、各社の設備投資額はNTTドコモが5,691億円、KDDI(au)のモバイルは3,615億円、ソフトバンクの移動通信が3,569億円、楽天モバイルは3,359億円となり、2019年度に比べ、NTTドコモは微減、KDDI(au)が微増、ソフトバンクは増加、楽天モバイルが大幅増となった。UQコミュニケーションズとWireless City Planningを含めたモバイルキャリア各社の設備投資合計は1兆6,550億円となり、投資総額自体が拡大している。楽天モバイルによる投資高騰の影響が強く、さらに投資が拡大する2021と2022年度は1兆8,000億円にまで達する見込みである。
機器市場に関し、無線機市場はKDDI(au)とソフトバンクでシェアを獲得したエリクソン・ジャパンがトップとなり、やや離れて、富士通、ノキアソリューションズ&ネットワークスが続く。富士通の上昇はNTTドコモの5G投資拡大が寄与したものとみられる。また、附帯設備は無線機に比べ、市場規模が小さいため、投資の浮き沈みの影響を受けにくい状況にある。エンジニアリング(通信建設)は投資よりも、キャリア各社の基地局計画に大きな影響を受ける。2020年度はLTE周波数のNR化を除くと、NTTドコモが5Gと700MHz帯、KDDI(au)は700M/1.7G/800MHz帯、ソフトバンクが900M/2.1GHz帯に大きな動きがみられた。
本調査企画は基地局及び周辺部材市場の現状やキャリアのインフラ戦略について、キャリアやベンダ、エンジ会社などへの多面的な取材を通じ、実態を把握し、予測することを目的としている。キャリアのインフラ戦略及び投資動向以外に、無線機やアンテナ、ケーブル、電源、蓄電池といった周辺部材市場の実態を明らかにする。
<1>市場分析編
1.キャリアを取り巻く市場環境
NTTドコモがNTTグループの要
さまざまなキャリアの集合体であるKDDIグループ
投資事業に注力するソフトバンクグループ
楽天グループのモバイルセグメントは今後の成長に期待
総務省による値下げ要請からMNO各社が新プランを発表
2021年秋から芯線賃貸サービスを開始するJR西日本
2.NTTグループを巡る動き
・NTTグループにおける再々編
ドコモコムコム誕生によるNTTドコモの設備メリット
・NTTグループにおける共同調達
2020年8月に共同調達に関する指針を策定した総務省
・IOWN構想の動向
2022年度に光電融合デバイスの試作品を完成させるNEL
3つのステップからなる光電融合技術開発スケジュール
2021年7月に研究所組織の見直しを実施
2021年7月に研究所組織の見直しを実施
2021年6月に新たな光アクセス網の構成方法を確立
2021年4月に富士通と戦略的業務提携に合意
NokiaもIOWNGFに参加
2021年1月にIOWN推進室を設置したNTTデータ
2020年12月にEricssonから新たな取締役を追加したIOWNGF
IOWN技術開発ロードマップを策定
3.Beyond 5G/6Gの動向
2022年度から光ファイバ回線向け情報処理チップの研究開発を開始する総務省
2021年6月にポスト5G研究に9件を採択した経済産業省
2021年6月に協定を結んだBeyond 5G推進コンソーシアムと6G Flagship
情報通信研究機構(NICT)の動向
2022年度中に官民の共同研究を進めるための6G研究施設を整備
2021年4月にBeyond 5G研究開発促進事業に係る研究実施者の公募を開始
2028〜2029年頃に導入される可能性がある6G
2021年4月に5Gなど先進技術分野における連携協定を締結したNTTドコモ
KDDI(au)の動向
2021年3月にKDDI総研とBeyond 5G/6Gに向けたホワイトペーパーを公開
2020年8月にKDDI Accelerate 5.0を発表
ソフトバンクの動向
2021年7月にBeyond 5G/6Gのコンセプト及び実現に向けた挑戦を公開
2021年1月に超小型アンテナによる300GHz帯THz無線通信に成功
2020年12月にニコンとトラッキング光無線通信技術の実証実験に成功
2021年8月にポスト5G向け基地局装置間の相互接続性検証技術開発を開始したNECと富士通
4.O-RAN/vRANの動向
NTTドコモの動向
2022年度にvRANを商用化
2020年度末のネットワーク仮想化適用率は56%
KDDI(au)の動向
基地局仮想化技術やO-RAN準拠のマルチベンダ接続を検証中
モバイル/固定ともに仮想化を導入中
ソフトバンクの動向
5G SAは仮想化基盤上に構築
2021年1月にNVIDIAとGPUによる5G vRANの技術検証を実施
楽天モバイルの動向
2021年3月にEtisalat GroupとRCP/Open RAN開発に関する覚書を締結
2021年3月にAirspanとRCP向けvRANソリューションに関する覚書を締結
仮想化における富士通の見立て
2021年3月にEricsson Open Labを設立したEricsson
5.ローカル5Gの動向
固定キャリアによるトライアルが進むローカル5G
2021年6月に遠隔での農作業支援の共同実証実験を開始したNTT東日本など
西日本電信電話(NTT西日本)の動向
2021年4月にローカル5G(4.7GHz帯)の無線局免許を取得
2021年2月にローカル5Gを活用した作業所DXに関する共同トライアルを開始
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の動向
2021年4月にDX共創拠点を新設
2021年3月から導入から運用までの支援サービスの提供を開始
2020年10月にE2Eスライシング機能に関する実証実験を開始
ローカル5G構築支援を提供するNTTドコモ
オプテージの動向
2021年5月にSamsungと5G利用の工場監視システム構築で提携
大阪府内でFWA実証実験を開始
2021年6月に九州産業大学とローカル5Gに関する共同研究を開始したQTnet
2020年11月に5Gショーケースの運用を開始したシスコ
2021年9月からSA方式によるローカル5Gの共同検証を開始したctcと中部電力
6.キャリア各社の設備投資の動向
楽天モバイルの投資拡大が国内キャリア投資額を底上げ
大手各社が微増・横ばいの中で楽天モバイルの投資額は倍増
固定と移動系の合計投資額の差は2020年度に7,000億円に拡大
国内ネットワーク機器投資の40%強がNTTグループ
7.ネットワーク機器市場の動向
上位ベンダは伝送装置での実績が影響
KDDIとNTTドコモへの供給が多いベンダが上位に位置
8.ネットワーク機器別の投資額推移
<2>キャリア編
共通項目:
・事業戦略
・業績推移(セグメント別売上高、営業利益など)
・設備投資とネットワーク投資の動向
・ネットワーク関連情報
・ネットワーク機器への投資額推移と予測
・ネットワーク機器投資におけるベンダシェア など
1.キャリア編〜東日本電信電話(NTT東日本)〜
2.キャリア編〜西日本電信電話(NTT西日本)〜
3.キャリア編〜NTTコミュニケーションズ(NTT Com)〜
4.キャリア編〜NTTドコモ〜
5.キャリア編〜KDDI〜
6.キャリア編〜UQコミュニケーションズ〜
7.キャリア編〜ソフトバンク〜
8.キャリア編〜Wireless City Planning〜
9.キャリア編〜楽天モバイルの動向〜
10.キャリア編〜北海道総合通信網(HOTnet)〜
11.キャリア編〜東北インテリジェント通信(TOHKnet)〜
12.キャリア編〜中部テレコミュニケーション(ctc)〜
13.キャリア編〜北陸通信ネットワーク(HTNet)〜
14.キャリア編〜オプテージ(OPTAGE)〜
15.キャリア編〜エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)〜
16.キャリア編〜STNet〜
17.キャリア編〜QTnet〜
18.キャリア編〜沖縄通信ネットワーク(OTNet)〜
<3>通信機器編
共通項目:
・市場概況
・国内市場規模推移と予測
・ベンダシェア
・主要ベンダの動向
1.通信機器編〜局用交換機〜
2.通信機器編〜伝送装置〜
3.通信機器編〜IP関連機器(ハイエンドルータ/スイッチ)〜
4.通信機器編〜BB関連機器(携帯電話基地局)〜
5.通信機器編〜BB関連機器(PON/MC)〜
■調査対象■
<キャリア(18社)>
1.NTT東日本
2.NTT西日本
3.NTTコミュニケーションズ
4.NTTドコモ
5.KDDI(固定/モバイル)
6.UQコミュニケーションズ
7.ソフトバンク(固定/移動通信)
8.Wireless City Planning
9.楽天モバイル
10.北海道総合通信網(HOTnet)
11.東北インテリジェント通信(TOHKnet)
12.中部テレコミュニケーション(ctc)
13.北陸通信ネットワーク(HTNet)
14.オプテージ(OPTAGE)
15.エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)
16.STNet
17.QTnet
18.沖縄通信ネットワーク(OTNet)
<ネットワーク機器>
1.局用交換機
2.伝送装置
3.IP関連機器(ルータ/スイッチ)
4.BB関連機器(携帯電話基地局)
5.BB関連機器(PON/MC)
<ベンダ>
1.NEC
2.シスコシステムズ
3.富士通
4.ノキアソリューションズ&ネットワークス
5.エリクソン・ジャパン
6.日本シエナコミュニケーションズ
7.サムスン電子ジャパン
8.APRESIA Systems
9.三菱電機
10.ジュニパーネットワークス
11.沖電気工業
12.住友電気工業