■ポイント■
・目に見えない「におい」をデジタル情報へ!未踏の領域だった嗅覚情報の定量化とイメージング技術の最前線をまとめた成書!
・環境・産業・健康分野の課題解決に向けた、においセンサの設計や安全性モニタリング、呼気計測技術などの研究開発動向を一挙解説。
・次世代のにおい情報社会の到来に向け、半導体・バイオ・DX技術分野の研究者・技術者の方必読の1冊!
■概要■
近年、ガス成分・におい情報を高度に計測・解析し、社会に活用するための研究開発は、生命科学、情報科学、材料工学、電子デバイス、さらには人間の知覚科学にまでまたがる、きわめて学際的な広がりを見せています。私たち人類は古来より、においを通じて環境を理解し、危険を回避し、食を選択してきました。しかしその嗅覚情報を定量化し、
リアルタイムかつ高精度に扱う技術は、長らく未踏の領域として残されてきました。
近年のセンシング技術の飛躍的発展により、「ガス成分を“視る”」「匂いを“情報化する”」という概念は、もはや夢物語ではありません。半導体・プラズモニクス・CMOS技術によるデバイスの進歩、生体分子や嗅覚受容体を活用したバイオハイブリッド型センサ、レーザー分光や化学発光による超高感度イメージング、さらには匂いのデジタル化やDXといった情報科学的アプローチが統合され、“においの高度情報化”は新たなステージに入りつつあります。
ガス・においセンシングの研究は、技術そのものの進化に加え、「人の嗅覚とは何か」「匂い情報をどのように理解し、共有しうるのか」といった根源的問いに向き合う分野でもあります。
本書が、読者の皆さまにとって、現在の技術潮流を俯瞰し、新たな発想を育む一助となり、そして未来の“匂い情報社会”を形づくる基礎となれば幸いです。
【第1編:ガス・においの先端計測技術】
第1章 バイオ蛍光ガスセンシングと経皮ガス計測応用
1 はじめに
2 バイオ蛍光法を用いたガスセンシング技術
3 外耳道ガスシステムの小型携帯化およびアセトンガス計測応用
4 おわりに
第2章 半導体ガスセンサの超高性能化
1 はじめに
2 半導体ガスセンサの検知原理
3 半導体ガスセンサの材料設計
4 三つの機能の融合
5 マイクロガスセンサによる超高感度および高選択ガス検知
6 まとめ
第3章 ガス・ニオイを色・形・音・因子で視る:人工嗅覚における多角的可視化アプローチ
1 ニオイを「色」で視る:擬原臭による嗅覚情報のデジタル化
2 ガスを「形」で視る:PDMS構造色による流れ・物性の可視化
3 ガスを「音」で視る:可聴音域音響共鳴によるスペクトログラム可視化と物性推定
4 ニオイを「因子」で視る:Score-CAMによる特徴量重要度の可視化
5 まとめ:色・形・音・因子による多角的可視化の未来
第4章 バイオハイブリッドセンサによる匂い計測技術
1 はじめに
2 バイオハイブリッド匂いセンサの構築と原理
3 気相中の匂い分子を検出する計測技術
4 混合匂い分子を検出する計測技術
5 まとめと今後の課題
第5章 匂いの空間分布と質の可視化
1 はじめに
2 匂い計測の定義と可視化システムの概要
3 プラズモニックガスセンサと匂い可視化フィルム
4 二次元プラズモニックガスセンサによる匂いの可視化
5 おわりに
第6章 レーザー分光法によるガス成分計測
1 はじめに
2 レーザー分光法の基礎原理
3 ガス成分分析用レーザー光源技術
4 光量子制御技術開発チームにおけるガス成分分析の実例
5 技術的課題と今後の展望
6 おわりに
【第2編:ガス・においセンシングの新たな要素技術】
第7章 CMOS集積回路を技術基盤とするにおいセンサ
1 はじめに
2 CMOSにおいセンサの構成と動作原理
3 CMOSにおいセンサによる計測例
4 まとめ
第8章 呼気・皮膚ガスセンシングによる個人認証
1 はじめに
2 人由来臭い成分の測定手法
3 皮膚ガスによる個人認証
4 呼気ガスによる個人認証
5 臭い情報に基づく個人認証の課題と対策
6 おわりに
第9章 バイオ蛍光技術を用いた高感度ガスイメージング
1 はじめに
2 NAD依存性脱水素酵素を用いたVOCイメージングの原理
3 バイオ蛍光法に基づく飲酒後経皮エタノールガスのイメージング
4 複数の酵素反応を組み合わせた二波長二成分イメージング
5 むすび
第10章 昆虫の嗅覚受容体を活用した匂いセンサ技術
1 はじめに
2 昆虫の嗅覚受容のしくみ
3 昆虫の嗅覚受容体を再構築した培養細胞 〜センサ細胞〜
4 センサ細胞を活用した匂いの識別技術
5 昆虫の嗅覚受容体を組み換えた遺伝子組換えカイコガ 〜センサ昆虫〜
6 おわりに
第11章 気相用アプタマーセンサ
1 はじめに
2 アプタマーの特性と気相中での構造
3 DNAを用いたセンサ
4 おわりに
第12章 皮膚ガス分析によるメンタルヘルスケア
1 はじめに
2 労働者のメンタルヘルス問題
3 ストレス応答のマーカー
4 皮膚ガスによる蓄積ストレスの判定
5 皮膚ガスセンサーの開発
6 おわりに
7 倫理的配慮
【第3編:においの高度情報化(イメージング・デジタル化)】
第13章 匂い可視化のための酸化物半導体ナノ構造アレイ
1 はじめに
2 高感度,高識別性能を有するガスセンサ
3 ヒトの嗅覚に学ぶガスセンサ
4 まとめ
第14章 近赤外光を用いた大気中水蒸気イメージング
1 緒論
2 測定原理
3 水蒸気イメージング
4 結論
第15章 バイオ化学発光によるエタノールガスの動画像化
1 はじめに
2 バイオ化学発光を用いたガス成分のイメージング技術
3 バイオ化学発光の高感度化技術と皮膚ガス計測への応用
4 バイオ化学発光計測の食品への適用
5 おわりに
第16章 ヒト嗅覚に基づく匂い情報DXの実現
1 ヒト嗅覚の匂い分子受容機構と情報処理機構
2 匂いセンシング技術の現状と課題
3 リアルタイムOR応答マトリクスとAI解析
4 ヒトORセルアレイセンサーの応用可能性と課題
5 今後の展望:匂い情報DXと新たな価値創出
第17章 においセンシングシステムの活用とその実際
1 はじめに
2 においセンシングシステムの概要
3 実社会におけるにおいセンシングシステムの活用事例
4 導入支援の実務的指針(事例から抽出した要点)
5 AIによる香り創出
6 まとめと実務への提言
第18章 匂いセンサ「FlavoTone(R)」の機能とその仕組み
1 匂いとは
2 動作原理と匂いの測定モード
3 測定事例
4 今後の展望
第19章 ロボティック・ガス計測
1 はじめに
2 ロボットを用いたガス分布計測
3 ロボットによるガス源探索
4 まとめ
【第4編:応用事例と今後の展開】
第20章 熱線型構造を用いた
ニオイ検知用金属酸化物半導体式センサの特徴と応用技術
1 はじめに
2 熱線型半導体式センサの検知原理と特徴
3 熱線型半導体式ニオイセンサの応用例
3.1 応用例1(労働安全)
3.2 応用例2(ヘルスケア分野への展開)
第21章 カーボンニュートラル時代における新ガス測定技術
1 はじめに
2 RTGMSについて
3 RTGMSのアプリケーション
4 おわりに
第22章 MEMS型イオン移動度分析計を用いた気体のフィールド計測
1 はじめに
2 FAIMSによるフィールド計測の利点
3 調査対象地域と調査設計
4 移動計測の方法と結果
5 宿泊施設・発電所における定点連続計測
6 臭気調査の方法論としての普遍化
7 今後の展望
8 おわりに
第23章 PZT圧電薄膜型ニオイセンサによるたばこ呼出煙のニオイ評価
1 はじめに
2 ニオイセンサ
3 たばこ呼気のニオイ測定
4 単一臭測定
5 初期化違いによる測定比較
6 まとめ
第24章 湿度制御可能な標準ガス発生装置
1 標準ガス調製方法
2 標準ガス希釈法(動的希釈法)
3 加湿における注意点
4 加湿標準ガス調製システム
第25章 H2S・NO放出制御材料の開発〜手軽に使える校正用・医療用ガス〜
1 はじめに
2 層状複水酸化物のアニオン交換能
3 H2S放出制御材料
4 NO放出制御材料
5 まとめ
■監修■
三林 浩二
東京科学大学