SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

腸内細菌代謝産物の生体調節機能

商品No.
R02V1115
出版月
2025年11月
価格

印刷タイプ 78,100円 (税込)

ページ数
B5判 271ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
備 考
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レポート内容
■ポイント■
 ・なぜ腸内環境は宿主の健康・疾患に影響するのか? 腸内細菌が産生する「代謝産物」の機能と可能性を徹底解説!
 ・「代謝産物」の分析と生体調節機能について、基礎研究から応用まで体系化!
 ・栄養学、免疫学、神経科学、疫学、さらには産業応用に至るまで、学際的な大きな広がりを見せる最近の研究動向を俯瞰できる1冊!

■概要■
 私たち人間は、生まれながらにして膨大な数の微生物と共に生きています。とりわけ腸内には、50 兆個以上もの細菌が生息しており、その保有する遺伝子情報は、宿主からの遺伝情報量を上回ることから、「もうひとつの臓器」とも呼ばれるようになりました。
近年では、メタゲノム解析やメタボローム解析といった先端技術の進展により、腸内細菌は単に共生しているだけでなく、私たちの免疫系や代謝系、さらには脳・神経系にまで深く関与していることが次々と明らかになっています。
 本書『腸内細菌代謝産物の生体調節機能』では、腸内細菌が産生する多様な代謝物と、それらが宿主に与える影響について、分子レベルのメカニズムから生理機能、疾患との関連、さらには応用展開に至るまで、最新の研究成果を交えながら体系的に紹介いたします。本分野は近年、世界的にも急速な発展を遂げており、基礎研究で得られた知見が、医薬品や食品、さらには健康産業など、さまざまな分野へと応用されつつあります。本書では、国内外の第一線で活躍されている先生方に執筆をお願いし、「腸内細菌が産生する代謝物の多様性」
「腸内細菌由来代謝物を測定・解析するための分析技術」
「腸内細菌代謝物が宿主の生体機能に与える影響」
「腸内細菌代謝物の生産と応用展開」といった多角的な視点から、腸内細菌が産生する代謝物に関する最先端を俯瞰できる内容となるよう編集いたしました。
 本書の企画にあたり、私には一つの願いがあります。それは、「腸内細菌が産生する代謝物」という新たな視点を取り入れることで、腸内環境と健康の関係性をより立体的に捉え、基礎研究と応用研究の橋渡しを進めたいという想いです。かつては微生物学の小さな一領域とされていた腸内細菌研究は、先人の多大なるご尽力により、今では栄養学、免疫学、神経科学、疫学、さらには産業応用に至るまで、学際的な大きな広がりを見せています。本書がその広がりを支える知的基盤の一助となり、研究者、技術者、学生、そして産業界の皆様にとって、有益な羅針盤となることを心より願っております。
-CONTENTS-
【第1編:腸内細菌が産生する代謝物の多様性】
[脂質]
<1>腸内細菌が産生する脂溶性代謝物
1.はじめに
2.腸内細菌が産生する脂質代謝物
3.おわりに

[アミノ酸]
<2>腸内細菌が産生するD-アミノ酸
1.はじめに
2.D-アミノ酸
3 細菌のペプチドグリカンに含まれるD-アミノ酸
4.細菌におけるD-アミノ酸の合成経路
5.D-アミノ酸の生理機能

[糖質]
<3>糖による腸内細菌叢の構造・機能変容と宿主応答への影響
1.はじめに
2.ヒトと腸内細菌における炭水化物分解能の違いとその重要性
3.難消化性多糖類による腸内細菌叢制御と疾患の調節機構
4.単糖類・糖アルコールの腸内代謝と全身性生理機能への波及効果
5.SCFAsを介した腸内細菌と宿主生理機能の協調ネットワーク
6.乳酸とコハク酸:代謝のハブとしての機能とシグナル伝達
7.糖代謝シグナルが媒介する非糖代謝物変動と免疫・薬剤応答の腸内ネットワーク
8.さいごに

[硫黄]
<4>腸内細菌が産生する硫黄代謝物
1.はじめに
2.硫化水素
3.超硫黄分子
4.腸内細菌と硫黄代謝
5.腸内細菌代謝物としての硫化水素
6.病原細菌における超硫黄分子
7.腸内細菌における超硫黄分子の産生とその生理機能的意義
8.まとめ

【第2編:腸内細菌代謝産物の分析】
<5>質量分析情報計測技術を用いた腸内細菌代謝物解析の可能性
1.はじめに
2.進化するバイオインフォマティクス環境
3.進化する質量分析に基づく代謝物構造解析
4.脂肪酸代謝物の多様性を解き明かす情報計測手法
5.FAHFAの構造多様性を解き明かすEAD MS/MSを用いた構造リピドミクス
6.おわりに

<6>腸内細菌代謝物のノンターゲットメタボロミクス・リピドミクス
1.はじめに
2.メタボロミクスの種類と目的に応じた使い分け
3.データベースで同定されない代謝物の解析法
4.ノンターゲット解析の注意点
5.おわりに

<7>ラマン分析を用いた見える化技術の開発と
            腸内細菌代謝物分析への展開
1.はじめに
2.ラマン分光法による生体分子解析の原理と特徴
3.腸内細菌代謝産物分析への応用
4.先進的ラマン微生物分析技術の開発と応用
5.今後の技術展開と腸内細菌研究への展望
6.まとめ

<8>食事成分の腸内細菌代謝物の解析と
   ポストバイオティクスとしての開発
1.はじめに
2.プレバイオティクス,プロバイオティクスからポストバイオティクスへ
3.ポストバイオティクス開発のための腸内細菌代謝物分析法開発
4.腸内細菌が産生する脂肪酸代謝物の多様な生理機能
5.腸内細菌に特異な食事成分代謝のポストバイオティクスとしての開発
6.おわりに

【第3編:腸内細菌代謝産物の生体調節機能】
<9>腸内代謝物による免疫制御
1.はじめに
2.腸内代謝物による免疫修飾
3.パイエル板におけるTfh細胞依存的なIgA産生機構
4.パイエル板γδT17細胞活性化の病理的意義
5.おわりに

<10>免疫制御における必須脂肪酸代謝物の機能解明と腸内細菌の関与
1.はじめに
2.ω3脂肪酸のCYP代謝物17,18-EpETEの機能
3.ω3脂肪酸のLOX代謝物12-HEPE,15-HEPE,14-HDPAの機能
4.腸内細菌によるユニークな脂質代謝と全身に対する様々な生理機能
5.ω3脂肪酸のポストバイオティクスαKetoA,t10,c15-18:2の機能
6.おわりに

<11>腸内細菌由来短鎖脂肪酸における宿主エネルギー代謝機能制御
1.はじめに
2.腸内細菌によるエネルギー代謝調節
3.短鎖脂肪酸の生体内における役割
4.短鎖脂肪酸受容体を介したエネルギー代謝調節
5.短鎖脂肪酸の社会実装に向けた取り組み
6.おわりに

<12>腸内細菌代謝分子による腸管バリア機能の制御
1.はじめに
2.腸管バリアの多層的構造
3.腸管バリアを制御する腸内細菌代謝分子
4.おわりに

<13>腸内細菌由来の代謝物による腸血管のバリア機能の制御機構
1.はじめに
2.腸血管バリアの構造と機能
3.GVBの生理的機能と疾患への関与
4.腸内細菌によるGVBの制御機構
5.おわりに

<14>腸内細菌代謝物による消化管ホルモン分泌制御機構の解明
1.はじめに
2.リゾリン脂質によるGLP-1分泌制御機構
3.胆汁酸によるGLP-1分泌制御機構
4.バソプレシン受容体遺伝子欠損マウスにおける
  酪酸を介したGLP-1分泌不全の発症機構
5.おわりに

<15>腸内細菌による腸管神経系の制御
1.はじめに
2.腸管神経系の発達
3.ENS発達における腸内細菌の役割
4.腸内細菌由来因子によるENS機能調節
5.おわりに

<16>腸内細菌代謝物を中心とした腸管免疫を介する
                 アルツハイマー病の制御
1.はじめに
2.アルツハイマーモデルマウスの病態変化
3.ADマウスの肝臓における尿素回路異常
4.ADマウス腸内細菌の脳および内分泌組織への
  バクテリアルトランスロケーション(BT)
5.L-アルギニンとリモノイドの投与によるADモデルマウスの治療
6.まとめ

<17>腸内細菌と多発性硬化症
1.多発性硬化症
2.腸内細菌と免疫系
3.EAEと腸内細菌
4.MSと腸内細菌叢
5.腸内細菌叢代謝産物とグリア細胞

<18>腸内細菌によるトランス脂肪酸産生と肥満
1.はじめに
2.Fusimonas intestiniは糖尿病患者に多い
3.FIは高脂肪餌との組み合わせでマウスに肥満・耐糖能異常を来たす
4.FIは腸管上皮バリア破綻による慢性炎症を引き起こす
5.FIが産生するエライジン酸は
  腸管上皮に直接作用してバリア破綻を来たす
6.おわりに

<19>Lewy小体病における腸内細菌と代謝産物の関連
1.パーキンソン病における腸内細菌叢
2.RBDにおける腸内細菌叢
3.DLBにおける腸内細菌叢

<20>シアル酸がもたらす腸内細菌叢への影響と機能
1.シアル酸の種類と生合成
2.母乳に含まれるシアロオリゴ糖の機能
3.細菌叢発達とシアロオリゴ糖
4.種間を超えた腸内共生戦略としてのシアル酸利用
5.粉ミルクへの応用
6.おわりに

<21>腸内細菌のトリプトファン代謝物の腸管への影響
1.はじめに
2.宿主と腸内細菌によるトリプトファン代謝
3.腸内細菌のトリプトファン代謝物の宿主受容体とその作用
4.腸内細菌トリプトファン代謝物と腸の疾患の関係
5.おわりに

<22>ポリフェノールの腸内細菌叢を介した生体調節機能
1.はじめに
2.ポリフェノールの摂取による疾病予防効果
3.ポリフェノールと腸内細菌
4.腸内細菌叢を介したポリフェノールの生体調節機能
5.おわりに

【第4編:腸内細菌代謝産物の生産】
<23>腸内細菌の網羅的培養技術の開発と代謝産物解析への応用
1.はじめに
2.手法
3.結果
4.考察

<24>HYA(10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid)の機能と応用
    -腸内細菌脂肪酸代謝物としての生理活性と可能性-
1.HYAはリノール酸の初期代謝物
2.HYAは腸のGPR40,GPR120に作用してGLP-1を誘導する
3.HYAは脂肪組織に作用して,脂肪細胞の肥大化を抑制する
4.HYAは肝臓に作用して,肝線維化を抑制する
5.その他のHYAの生理活性
6.HYAの食品開発
7.HYAの医薬品開発

<25>機能性腸内代謝物質素材ウロリチンAの開発と機能性
1.はじめに
2.ウロリチンAの嫌気性微生物発酵による工業生産
3.ウロリチンAの機能性
4.おわりに

<26>Indole-3-lactic・acid(ILA)を介したビフィズス菌の宿主
                    -腸内代謝調節機構
1.序論
2.トリプトファン由来代謝物の宿主への有用性
3.ILAとビフィズス菌
4.ILAの代謝経路
5.ILA産生に影響を及ぼす因子
6.腸内細菌叢間のクロストーク
7.おわりに

<27>腸内細菌由来ポリアミンによる大腸粘膜の健全性維持
1.腸管粘膜バリアとポリアミン
2.ポリアミンの生合成とその生理機能
3.ポリアミンの供給源としての腸内細菌叢
4.ポリアミンと腸上皮細胞
5.ポリアミンと免疫細胞
6.ポリアミンと炎症性腸疾患
7.おわりに

<28>ポリフェノールの腸内細菌代謝物HMPAと機能性食品素材の研究開発
1.はじめに
2.ポリフェノールの腸内細菌代謝
3.HMPAとは
4.腸内細菌のHMPA変換能
5.商品開発
6.臨床試験での機能性検証
7.おわりに

■監修■
國澤 純
医薬基盤・健康・栄養研究所
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