SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

バイオプラスチックの最新技術動向

-真の普及を目指して-

商品No.
R02V0996
出版月
2022年 7月
価格

印刷タイプ 71,500円 (税込)

ページ数
B5判 252ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
備 考
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レポート内容
・2021年6月のプラスチックに関わる資源循環の促進等に関する法律(通称促進法)成立など、プラスチックへの規制が強まることで再度脚光を浴びるバイオプラスチック!
 ・非可食バイオマス、海洋分解性プラスチックなど注目を浴びるなか、各社の取り組み状況は?
 ・耐熱性・透明性など製品応用に向けて課題となる機能性を如何にして解決するか!?

■概要■
 これまでにバイオマス利活用に係る大きなうねりは2回ほどあり、まず、1970年代のオイルショックに端を発するものが第1波、 1992年の「地球サミット」(開催地ブラジル)を契機に世界的な関心事となった地球温暖化問題に誘導されたものが第2波である。
 そして今般の第3波である。<1章にて触れるが、これまでの2つの波が目指した目標は未解決であり、地球温暖化に伴う異常気象の発生も無視できない状況である。加えて、生物多様性や人類の幸福までも含めた持続性の高い要求(SDGs等)が世界的に重要視されるようになり、バイオマスの利活用もこの新しい枠組み内での展開が必須と言えよう。
 最近までの我が国の対応に目を転ずると、世界の動きからかなり遅れている。バイオマス由来のプラスチック製品についても同様であり、2002年のバイオマスニッポン総合戦略、バイオテクノロジー戦略大綱、2005年の愛・地球博以後は関心が薄れ、今や製品製造の空洞化にも陥ってしまっている。
 しかし、漸く我が国政府も重い腰を上げ、2016年にプラスチック資源循環戦略、地球温暖化対策計画においてバイオマスプラスチックの導入と温室効果ガス(GHG)削減目標が数値化(2030年までの導入量197万トン、削減量207万トン)された。バイオマスプラスチックの普及拡大を唱えつつも2002年の2つの戦略では数値目標が明確に示されずに終わったが、この度数値目標を示したことでその達成に向けた関連施策がかなり具体的に検討され、2021年1月バイオプラスチック導入ロードマップの発出、同年6月のプラスチックに関わる資源循環の促進等に関する法律(通称促進法)成立、そして促進法の肉付けと関連法規制の改正等が盛り込まれて4月1日に正式施行されたのは大きな進歩と言える。
 今般の情勢に呼応してバイオマスやプラスチックに関する専門書や啓蒙書が種々出版されているが、第1波、第2波、そして今日に至るまで継続的に取り組んできた経験者としてバイオプラスチックの来し方行く末を俯瞰し、目標達成のための課題と展望を披露することを、本書の特徴の一つとしたいと思う。
 各論において貴重な玉稿を提供された執筆者各位に感謝すると共に、本書が読者の皆様のご期待に多少なりとも沿えられることを願うものである。
-CONTENTS-
【基礎編】
<1>バイオマスプラスチックの基礎と普及に向けた課題と展望
1.バイオプラスチックの定義と登場経緯
2.バイオマスプラスチックの基礎特性概観
3.真の普及を目指して政策、技術の表裏両面を見る!

<2>生分解性プラスチックの基礎と技術動向
1.はじめに
2.脂肪族ポリエステル
3.その他の生分解性プラスチック
4.分岐状ポリ乳酸
5.おわりに

<3>海洋プラスチック汚染問題─科学的事実と持続可能性─
1.はじめに
2.海洋プラスチック汚染:科学的事実
3.問題を取り巻く社会の状況

<4>プラスチックの生分解性に関する評価と規格
1.プラスチックの生分解機構
2.プラスチックの生分解評価に関する規格
3.認証制度
4.おわりに

【材料技術編】
<5>多糖類を原料とした新規バイオマスプラスチック
1.はじめに
2.虫歯菌の酵素を用いたα-1,3-グルカンの試験管内合成
3.β-1,3-グルカンとα-1,3-グルカンエステルの調製と基礎物性評価
4.β-1,3-グルカンエステルの熱成形加工と物性評価
5.α-1,3-グルカンエステルのフィルムと繊維の作製と物性評価
6.β-1,3-グルカンとα-1,3-グルカンの分岐状エステル基の導入による物性向上
7.おわりに

<6>ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)
1.はじめに
2.ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)とは
3.天然微生物が合成するPHAと生合成経路
4.PHA重合酵素
5.PHAの材料特性と物性向上のための戦略
6.新規モノマーを含有する共重合体PHA
7.おわりに

<7>カネカ生分解性ポリマーGreen Planet((R)の海水中における生分解性と社会実装

<8>デンプンをベースとする高分子材料
1.はじめに
2.デンプン/セルロース複合材料
3.熱可塑性デンプン/プラスチックブレンド
4.おわりに

<9>ポリ乳酸
1.ポリ乳酸概略
2.現在の市場
3.光学純度と物性
4.圧電高分子
5.ステレオコンプレックスポリ乳酸
6.抗菌性
7.耐衝撃性
8.ガスバリア性
9.加工適正
10.結晶化
11.バイオマスプラスチックとしてのポリ乳酸
12.バイオマスプラスチックを使用する意義
13.生分解性プラスチックとしてのポリ乳酸
14.生分解性樹脂を使用する意義
15.最近の使用例
16.海外での事例

<10>ポリ乳酸系ブレンド
1.はじめに
2.溶融弾性の向上
3.結晶化速度の向上
4.破壊靭性の向上

<11>セルロースナノファイバーによるバイオポリエチレンの性能強化
1.はじめに
2.セルロースナノファイバーの概要
3.セルロースナノファイバーの調製
4.京都プロセス(R)によるCNF複合樹脂の開発
5.バイオポリエチレン
6.CNF強化バイオPEの性能
7.おわりに

<12>植物由来ポリエチレン
1.はじめに
2.生産概要と用途
3.植物由来ポリエチレンの製造工程
4.食糧との競合・熱帯雨林への影響
5.今後の展望

<13>バイオPET
1.はじめに
2.バイオPETの特性
3.PETの市場動向
4.バイオPETの市場動向
5.石油由来PETの製造方法
6.MEGの市場動向と製造方法
7.PX、PTAの市場動向
8.バイオPTAの研究開発状況
9.生物学的手法によるPXからPTAへの変換法
10.バイオPETを利用した製品
11.バイオPETによるCO2 排出量の削減
12.まとめ

<14>バイオイソシアネート利用ポリウレタン
1.はじめに
2.開発の背景およびコンセプト
3.STABiO(R)(スタビオ(R))PDI(R)および硬化剤の特徴
4.スタビオ(R) PDI(R)ウレタンシステムの用途
5.おわりに

<15>バイオベースエポキシ樹脂
1.はじめに
2.様々なバイオベースエポキシ樹脂
3.おわりに

<16>バイオマス由来フェノール樹脂の生産技術
1.フェノール樹脂について
2.グリーンフェノールの生産技術
3.リグニン変性フェノール樹脂

<17>高耐熱性・透明性を有する芳香族バイオプラスチック
1.バイオベースモノマーの分子設計
2.バイオベースポリイミドの開発
3.バイオベースポリアミドの開発

<18>バイオプラスチックとしての酢酸セルロースの展開
1.はじめに
2.酢酸セルロースの概略
3.酢酸セルロース樹脂とは
4.酢酸セルロース樹脂の特長
5.用途展開

<19>藻類系バイオプラスチック
1.はじめに
2.微細藻類を利用したバイオプラスチックの分子設計と実用特性の実証
3.藻類バイオマスを使ったバイオプラスチックの生産プロセスの開発
4.今後の展望と課題

<20>バイオポリアミド
1.はじめに
2.ポリアミドとは
3.バイオポリアミドの基礎原料-ヒマシ油
4.バイオポリアミドの歴史と現在
5.バイオポリアミドの物性
6.SDGsとCOP21の影響
7.バイオポリアミドの開発動向
8.バイオポリアミドのサプライチェーンに対する環境的アプローチ
9.バイオポリアミドの将来
10.おわりに

<21>フラン誘導体を用いたバイオプラスチック
1.バイオマス由来化合物としてのフラン誘導体
2.フラン誘導体からの汎用高分子モノマー合成
3.フラン環のDiels-Alder反応
4.フラン環含有高分子
5.ビスフラン骨格含有高分子
6.ビフラン骨格含有高分子
7.フラン環の利用
8.まとめ

<22>ナノキチンの製造技術とその繊維補強材料
1.はじめに
2.カニ殻由来の新素材「ナノキチン」
3.ナノキチン補強高分子複合体の製造
4.おわりに

■監修■
木村 俊範
北海道大学名誉教授
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