■ポイント■
・日進月歩で開発が進むセンシング技術の最新動向を網羅!
・大学の臨床研究から製品化まで最新医療センシングの動向を一挙解説!
・国内第1線の執筆陣が集結!
■概要■
近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い、感染診断やバイタル・センシングなど医療計測を目的とするセンサ及び医療計測デバイスが世界的に注目されている。Report Oceanの報告によると、世界の医療用センサの市場は2020年には約11億7,000万米ドルに達し、2021年から2027年の期間には更に7%以上の成長率が予想されている。
一方、社会の高齢化も、臨床および在宅医療での新規かつ高度なセンサ技術を求める要因となっている。すでに、日本では65歳以上の高齢者人口が2021年には29%を超え、2040年には35%に達すことが見込まれており、医療機関や在宅医療での簡便かつ高度な医療センサのニーズが高まっている。
本書では、今後求められる医療領域における臨床センシングと先端医療デバイス技術の発展を見据え、第一編では先制医療や予防診断に不可欠な先進的なバイオ計測デバイスについて、第二編では近未来の高度医療や外科手術に必要なイメージング技術や支援センシング機器、第三編では臨床及び在宅医療に求められる無拘束・低侵襲センサ及び計測サポート技術に関して、各領域にて活躍されている第一線の研究者に最新の研究と世界の動向を概説していただいた。本書が当該の学術領域および関連産業の発展の一助になることを願うものである。
【第Ⅰ編 先制医療・予防診断のためのバイオ/化学センサ】
<1>医療・健康科学のための呼気・皮膚ガスの高感度計測とイメージング
1.はじめに
2.バイオ蛍光式ガスセンサによる呼気アセトン・イソプロパノールの臨床計測応用
・高い感度と選択性を有する生体ガス計測用バイオスニファの開発
・糖尿病疾患における呼気ガス濃度(アセトン・イソプロパノール)
・呼気中アセトンの高感度計測による脂肪代謝評価
3.経皮ガスイメージングに基づく「血液ガス成分の外耳部モニタリング」
・血液由来ガス(飲酒後エタノールとアセトアルデヒド)の経皮バイオ蛍光イメージング
・外耳部での経皮エタノールガス連続モニタリング:新規ウエアラブルバイオ計測
4.まとめ
<2>新型コロナウイルスのデジタル検出
1.はじめに
2.CRISPR-Casを利用した核酸検出技術
3.SATORI法の開発
4.SARS-CoV-2RNAの検出
5.既存技術との比較
6.SATORI法の将来展望
<3>ピロリ菌の検査を取り巻く現状と赤外分光分析装置の変遷
1.はじめに
2.ピロリ菌の特徴
3.診断と治療
4.赤外線分光装置に関する解説
5.赤外線分光装置の測定原理
6.赤外線分光装置の変遷
7.赤外線分光装置の原理
8.機器操作の流れ
9.測定装置の操作法
10.おわりに
<4>がん検出のための分子インプリントセンシングデバイス
1.はじめに
2.分子インプリント材料によるがんマーカー検出
3.おわりに
<5>眼表で利用する医療用無線計測コンタクトレンズの開発
1.はじめに
2.無線給電素子
3.無線給電式バイオセンシングレンズ
4.無線式眼圧計測レンズ
5.近赤外光を用いた眼底測定レンズ
6.おわりに
<6>オキシトシンセンサデバイス開発と研究展望
1.はじめに
2.妊婦が「乳児とふれあう体験」の効果指標:コルチゾールとオキシトシン
3.自然な陣痛発来を願う妊婦へのケア:乳頭マッサージとオキシトシン値
4.唾液オキシトシン値の妊娠後期から産褥早期の推移:自然分娩・無痛分娩による違い
5.合成オキシトシンによる影響はあるか:オキシトシン、24時間乳汁分泌量
6.唾液採取によるオキシトシンの評価から電子デバイスによる簡便な測定へ
7.結語と展望
【第Ⅱ編 高度医療・外科手術のためのセンサ及びイメージング機器】
<1>微細加工技術を用いた低侵襲医療用センシング
1.はじめに
2.微細加工技術
3.物理量計測
・圧力センサ
・力センサ
4.画像センシング
・光学画像センシング
・超音波を用いた画像センシング
・MRI(核磁気共鳴イメージング)内視鏡
5.おわりに
<2>非染色細胞診断のための蛍光寿命CMOSイメージセンサとデータ解析
1.はじめに
2.蛍光寿命イメージング(FLI)
・分子と蛍光寿命
・細胞代謝のイメージング
・TCSPC法と周波数領域法
・ディジタル周波数領域法とフェーザ表示
3.マルチタップ電荷変調器を用いたFLIイメージセンサ
・マルチタップ電荷変調器
・ラテラル電界制御電荷変調器(LEFM)
・2段電荷転送を用いたFLI用LEFMイメージセンサ
4.FLI用LEFMイメージセンサへのディジタル周波数領域法の適用と信号解析
・遅延掃引を用いた計測とディジタル周波数領域法の適用
・腫瘍サンプルのフェーザ表示
・独立成分分析
5.むすび
<3>体の中の多様な情報を非侵襲で可視化するMRIテクノロジー
1.はじめに:磁気共鳴イメージング(MRI)の特徴
2.MRIの組織コントラスト
3.構造情報
4.機能情報
5.代謝情報
6.温度やpHなどの生理学的情報
7.まとめ
<4>深部体温計測のための細径針形状温度センサ、及びヒーター応用
1.はじめに
2.注射針形状温度センサ
・心筋温度センサ
・動物実験用温度センサ
3.多機能極細径針
4.まとめ
<5>手術支援ロボットにおける触覚センシング
1.はじめに
2.触覚の有効性
・腹腔鏡下手術支援ロボット
・カテーテル操作支援ロボット
3.触覚センサを用いた直接測定
・ロボット鉗子で求められる測定範囲
・ロボット鉗子に搭載される触覚センサ
・カテーテル挿入ロボットでの触覚センシング
4.触覚の推定
5.おわりに
<6>スマート治療室のためのセンサ・ロボティクス・AI技術
1.はじめに
2.スマート治療室
3.スマート治療室におけるセンサ・ロボティクス・AI活用事例
4.課題・展望
5.おわりに
<7>眩しくない自撮り可能な眼底カメラ
1.はじめに
2.近赤外カラー眼底カメラ
3.眼底自撮り
4.取得動画の高画質化
5.近赤外カラー眼底カメラの小型化
・誘電体多層膜フィルタの設計
・誘電体多層膜フィルタ搭載イメージセンサ
6.誘電体フィルタの照明系への応用
7.おわりに
<8>医療用磁気センサ開発
1.はじめに
2.強磁性トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子センサ
3.TMR素子による心磁図測定
4.TMR素子による脳磁図測定
5.MTJ素子を用いた核磁気共鳴の測定
6.TMR高感度生体磁気センサの将来展望
<9>MEMS内視鏡センサ(超低侵襲内視鏡医療技術)
1.はじめに
2.低摩擦状態下での内視鏡治療に向けた鉗子実装型MEMS滑り覚センサ
・滑り触覚センサの開発背景
・新しいデバイスと原理による把持滑りの検出
・MEMS滑り覚センサと鉗子への実装
・滑り覚を実装した腹腔鏡鉗子の評価
3.超低侵襲軟性内視鏡手術にむけた圧力・温度センサの実現と実証
・軟性内視鏡用圧力センサの開発背景
・集積化MEMS圧力・温度センサの構造
・圧力・温度センサの製作と軟性内視鏡への実装
・センサを実装する軟性内視鏡による動物実験
4.おわりに
<10>血圧脈波検査装置
1.はじめに
2.主な機種と検査方法
3.構造と仕組み
・血圧計
・心音図
4.PWVの歴史
5.PWVの計測方法
・計測部位と血管長
・脈波の立上りの検出方法
6.CAVIの原理
7.血管弾性と血圧との関係
8.最近の血圧脈波検査装置
<11>光干渉断層計を用いた生体計測の進化
1.緒言
2.眼科用OCTの歴史
3.OCTの原理と仕組み
・光学系とその原理
・OCTの基本性能…分解能(深さ・横)、計測速度、感度
・OCTの信号・画像処理手法
4.眼科検査装置への応用
・眼科応用の利点
・OCTアンジオグラフィ(OCTを利用した血管抽出法)
5.トプコンの眼底イメージング装置への取り組み
・波長掃引光源を活用したSS-OCT眼底イメージング
・全自動計測OCT Maestro
6.OCT研究の進歩
・OCTの高度化に関した研究事例
・OCTを応用した機能診断
7.結語
【第Ⅲ編 臨床及び在宅医療に求められる無拘束・低侵襲センサ】
<1>hitoe(R)
1.はじめに
2.心電図が測れるシャツ
3.hitoe(R)ウェアラブル心電図測定システム
4.スマートヘルスケア応用
・暑さ対策
・リハビリテーション支援
5.まとめ
<2>電子血圧計
1.血圧とは
2.電子血圧計の技術
3.血圧計のウェアラブル化
4.夜間血圧計
5.まとめ
<3>スポーツ歯科学のための口腔内センサ
1.はじめに
2.口腔内センサに求められる耐環境性能
3.咬合力の評価
・従来測定機器
・咬合力測定のためのウェアラブルセンサの開発
4.センサ保持器官としての口腔・歯列(加速度を検出する口腔内センサ)
5.おわりに
<4>血圧計などのICT医療・健康機器
1.はじめに
・医療機器と健康機器
・血圧計における医療機器と健康機器
・体重計における医療機関向け機器と家庭向け機器
・その他、日本における医療機器規制の動向
2.ICT医療健康機器と通信
・概要
・ICT医療健康機器の通信方式
・医療健康機器の通信の標準化
3.アプリケーションとサービス
・個人の健康管理
・地域住民の健康増進
・東北大震災時の血圧遠隔モニタリング
・病院内におけるワイヤレスモニタリングと在宅医療モニタリング
・在宅での血圧モニタリングと住環境情報
4.課題とまとめ
<5>マイクロニードルパッチ型センサー
<6>6Gに向けた完全ワイヤレス化を実現する中距離無線給電技術
1.はじめに
2.フレキシブルなメタサーフェス
3.世界最小ペースメーカー
4.動物実験におけるPoC
5.まとめ
<7>生体装着型バイタルサイン計測デバイス開発の研究
1.はじめに
2.光ファイバ型ひずみセンサの計測原理
3.バイタルサイン計測システム
4.バイタルサイン算出実験と算出結果
・脈拍数算出結果
・呼吸数算出結果
・収縮期血圧算出結果
5.おわりに
■監修■
三林 浩二
東京医科歯科大学