医療・ヘルスケア・創薬分野における
自然言語解析AIの応用と戦略
株式会社FRONTEO 執行役員
ライフサイエンスAI CTO・博士(数学)
豊柴 博義(とよしば ひろよし) 氏
人間だけが抽象的なシンボルを使ってコミュニケーションを行い、複雑な感情や状況を表現し伝えることができる。この言語を人に代わってコンピュータに処理させる試みが、自然言語処理である。自然言語処理は、人間に特有の情報を扱うという点で、実社会における応用が、大きく期待されている。その応用範囲は法律、金融、医療、創薬と多岐にわたり、それぞれの分野で求められる自然言語処理の技術も多様である。
本講演では、特に自然言語処理AIの医療・ヘルスケア・創薬分野における応用とその戦略的な展開について紹介したい。
1.自然言語処理AI
2.自然言語処理AIによる診断支援AI(認知症診断支援)
3.自然言語処理AIによる事象予防AI(転倒転落予測)
4.AI創薬における自然言語処理AI
5.まとめ
早稲田大学大学院 理工学研究科数学専攻。理学博士(数学、2000年に博士号取得)課程中の1999年より九州大学医学部附属病院の医療情報部にて医療データの統計解析を担当する。2000年よりアメリカ国立環境健康科学研究所(NIEHS)において、データ解析による発がんプロセスの研究などに参加。2004年からは独立行政法人国立環境研究所にて、毒性データの統計解析・疫学研究のデザインとデータ解析の研究に従事。2006年に武田薬品工業に入社し、バイオインフォマティクス分野の研究員、グローバルデータサイエンス研究所・日本サイトバイオインフォマティクスヘッド、サイエンスフェローを歴任。また、臨床試験データにおける遺伝子発現データ解析やターゲット探索、さらに免疫と癌におけるバイオマーカー探索にも携わる。
2017年よりFRONTEOでライフサイエンスAIの開発に従事。ライフサイエンスの領域に特化したAIエンジン「Concept Encoder」を開発。テキストのベクトル化という特徴を生かし、現在までに論文探索、創薬支援、認知症診断支援、転倒予測などのさまざまなAI製品をこの人工知能をベースに開発している。2019年よりライフサイエンスAI CTO。2021年執行役員就任。AIによる現代の医療課題の解決を目指す。