SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

【米国エネルギー革命2050シリーズ第15回】

動き出す米国のCCUS最前線

商品No.
O21330
開催日
2021年 9月22日(水)
価格
1名につき 38,500円(税込)
備 考
収録時間 2時間16分 テキストデータ(PDFデータ)つき

※プレミアム会員様(招待券含)も通常の受講料が発生致します。

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9月22日(水)

動き出す米国のCCUS最前線

クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏

2018年に米国で輩出された温室効果ガス(GHG)は、二酸化炭素換算で、約6ギガトン(60億トン)であるが、バイデン政権は、パリ協定に向かって2050年までにネットゼロにすると宣言している。米国で年間25メガトン(2,500万トン)以上の温室効果ガスを排出している施設は7,500箇所あるが、これらの脱炭素化までに残された期間はわずか28年である。全米の火力発電を再生可能エネルギー発電に転換し、全セクターで可能な限り電化し、運輸部門を電気自動車化してもパリ協定遵守は難しいと言われている。特に、産業・工業部門での二酸化炭素排出をゼロにすることは極めて難しい。
この状況下で、水素の活用とCCUSが極めて重要な技術とされてきた。CCUS (Carbon Dioxide Capture, Utilization and Storage)とは、二酸化炭素(CO2)を回収し、貯留・利用場所に輸送し、燃料や化学製品に利用したり、大気の影響のない場所(通常は地下の地層)に堆積させるプロセスである。IPCC特別報告書で示されているCCUSの役割を考慮した場合、全世界で350〜1,200ギガトンのCO2を今世紀中に貯留する必要がある。現在、毎年40メガトン(4,000万トン)の二酸化炭素しか回収・貯留されていないが、IPCCが示すシナリオを達成するには、2050年までに、この量を数千倍に増やす必要がある。この容量に必要な施設(分離・回収・輸送・貯蔵)を構築するための必要な巨額の資本投資を促進するためには、技術革新だけではなく、政策および民間部門の取り組みを大幅に増やす必要がある。米国、カナダ、欧州諸国の2050年に向けた長期戦略においても、濃淡はあるものの、各国とも脱炭素化の重要な手段としてCCUSを位置付けている。
米国では、バイデン政権の目玉政策であるクリーンエネルギーへの大幅転換に伴い、2035年までの発電セクターにおける脱炭素化と、2050年のパリ協定遵守に向かってあらゆるセクターでの脱炭素化(化石燃料使用の停止)への方向転換が始まっているが、水素及びCCUSへの取り組みも始まっている。2021年現在、米国で稼働中のCCUS事業の大半はEOR (Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)であるが、これは石油や天然ガスの採掘時に出た二酸化炭素を回収して地下に圧力をかけて戻し、原油や天然ガスの生産効率を上げる方法である。米国のEORは、1970年代に実用化され、そのためのエコシステムは一部地域であるが、すでに実用化されている。EOR以外にも、火力発電所やセメント工場等でのCCUSへの取り組みが始まろうとしている。
2020年11月時点で全世界で二酸化炭素を回収・貯留する設備は28カ所で操業しており、3カ所で建設中、事業化に向けて動いている計画が34あるという。そのうち北米は16件であり、北米で多くのプロジェクト先行している。連邦政府や州政府による後押しも進んでいる。エネルギー省(DOE)は2020年4月24日、CCUSの研究開発に合計1億3,100万ドルを拠出すると発表している。2020年の全世界のCCUS関連の17の新しい施設のうち、12の施設に米国が関与している理由は、2018年に改正された45Q税控除が法律に取り込まれたことが大きく起因している。また、カリフォルニア州では、CCUSプロジェクトは低炭素燃料基準 (LCFS)からも恩恵を受けている。
回収したCO2とグリーン水素を原料としたメタン・エタノール等の化成品の製造などが将来の技術として注目されており、米国でも研究が進んでいる。米国はその豊富な自然エネルギー資源もあり、CCUSは今まで表舞台に出ることは少なかったが、今年(2021年)が節目の年であるように感じる。「日本は進んでいる」と慢心することなく謙虚に米国に学ぶ姿勢が必要であると感じる。
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が「米国が目指すCCUS革命」という最新のトピックスをお送りする。

1.世界におけるCCUSの動向
2.バイデン政権のクリーンエネルギー目標でのCCUSの位置付け
(1)パリ協定遵守に向かった脱炭素の目標  
(2)再エネでカバーできない分野
3.米国でCCUSを推進する組織や支援策
(1)連邦政府・州政府  
(2)補助金・税制控除・低炭素燃料基準
4.CCUSに関する技術の動向
(1)分離回収技術  
(2)輸送技術  
(3)サプライチェーン  
(4)貯留技術
(5)モニタリング技術  
(6)二酸化炭素の活用技術  
(7)土地による吸収 
(8)DAC(空気からの直接回収)
5.米国の主なCCUSプロジェクト
6.CCUSを推進する企業
7.CCUSをめぐる論争
8.日本はこの流れの中で何をすべきか

阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに30年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
ホームページhttp://www.technology4terra.org
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/112900154/113000002/
※近著:【「脱炭素化」はとまらない! -カリフォルニアとハワイの場合-】
https://www.amazon.co.jp/dp/4425985214
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