SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

【米国エネルギー革命2050シリーズ第14回】

米国が目指す水素革命

〜水素は巨大なエネルギーエコシステムを担えるか〜

商品No.
O21329
開催日
2021年 9月 8日(水)
価格
1名につき 38,500円(税込)
備 考
収録時間 2時間18分 テキストデータ(PDFデータ)つき

※プレミアム会員様(招待券含)も通常の受講料が発生致します。

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9月 8日(水)

米国が目指す水素革命

クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏

米国では、バイデン政権の目玉政策であるクリーンエネルギーへの大幅転換に伴い、2035年までの発電セクターにおける脱炭素化と、2050年のパリ協定遵守に向かってあらゆるセクターでの脱炭素化(化石燃料使用の停止)への方向転換が始まっている。米国で年間25,000トン以上の温室効果ガスを排出している施設は7,500箇所あるが、これらの脱炭素化までに残された期間はわずか29年である。
脱炭素というと、発電セクターが注目されることが多く、米国でも温室効果ガス排出の27%を占めている。今後、太陽光や風力で発電セクターの再エネ化が進むと、膨大な量のエネルギー貯蔵と、需給調整メカニズムが必要になってくるが、リチウムイオンバッテリーで全部を賄うのは非現実的である。また、発電セクター以上に脱炭素化が難しいのは、運輸セクター(28%)と鉱工業セクター(22%)である。
運輸セクターでは、乗用車の電動化(BEV)が急速に進んでいるが、大型トラック・海運・航空分野では、水素燃料が主流になるのではと言われている。水素を動力源とする長距離トラックの実証事業や、港湾施設での水素の活用も進められている。また、米国では、2万台以上のフォークリフトが稼働中であるが、バッテリー駆動やプロパンガス駆動フォークリフトは問題が多く、水素燃料化が進みつつある。
現在、エネルギー省(DOE)が中心となって、FC(Fuel Cell)スタックやシステム、水素燃料製造、水素インフラ構築など、基礎研究や要素技術開発を中心にR&Dを推進している。これが、実証実験止まりになるか、米国の巨大なエネルギーエコシステムや工業生産を担えるかは、コストを含めた総合的な社会インフラ構築ができるかどうかにかかっている。
米国でのオンサイトグリーン(電解)水素製造価格は現在$10-15/kgと言われており、これが$5/kgを切るタイミングはまだだいぶ先である。オフサイトの大規模水素製造の場合は、圧縮、輸送コストが負担になる。どちらの場合でも、更なる技術革新と、規模の拡大が必要である。
水素の活用に関しては、欧州や日本が先行しているように見えるし、確かに米国はその豊富な自然エネルギー資源もあり、今まで表舞台に出ることは少なかったが、今年(2021年)が節目の年であるように感じる。「日本は進んでいる」と慢心することなく謙虚に米国に学ぶ姿勢が必要であると感じる。
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が「米国が目指す水素革命」という最新のトピックスをお送りする。

1.米国でのバイデン政権のクリーンエネルギー目標
 (1)2035年と2050年のゴールは?  (2)必要なクリーンエネルギーは?  (3)水素はどのような立ち位置か?
2.米国で水素を推進する組織
 (1)連邦レベル  (2)州レベル(特にカリフォルニア州)  (3)企業主体の団体
3.「水素製造」技術の動向
 (1)水電解装置  (2)その他の水素製造  (3)水素価格(現状と目標)
4.「水素輸送・貯蔵」技術の動向
 (1)米国における水素輸送サプライチェーン  (2)米国における水素パイプライン  (3)水素ステーションの動向
5.「水素利用」技術の動向
 (1)「発電」(大型と分散型)  (2)「エネルギー貯蔵」  (3)「運輸」(大型車両・フォークリフト・航空)
 (4)「化石燃料を代替する原料の製造」  (5)「産業工業部門」での水素の利用(セメント・鉄鋼産業他)
6.水素エネルギーを推進する企業
 (1)Broom Energy  (2)PlugPower  (3)Shell  (4)Refhyne  (5)Air Liquide
 (6)Air Products  (7)Power Innovation  (8)その他、5〜8社を紹介予定
7.日本はこの流れの中で何をすべきか

阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに30年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
ホームページhttp://www.technology4terra.org
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/112900154/113000002/
※近著:【「脱炭素化」はとまらない! -カリフォルニアとハワイの場合-】
https://www.amazon.co.jp/dp/4425985214
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