SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

【米国エネルギー革命2050シリーズ第11回】

バイデン政権が目指すクリーンエネルギーへの大転換

〜「気候変動サミット」での約束を読み解く〜

商品No.
O21326
開催日
2021年 7月28日(水)
価格
1名につき 38,500円(税込)
備 考
収録時間 2時間23分 テキストデータ(PDFデータ)つき

※プレミアム会員様(招待券含)も通常の受講料が発生致します。

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7月28日(水)

バイデン政権が目指すクリーンエネルギーへの大転換

クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏

米国では、バイデン政権の目玉政策であるクリーンエネルギーへの大幅転換に伴い、2035年までの発電セクターにおける脱炭素化と、2050年のパリ協定遵守に向かってあらゆるセクターでの脱炭素化(化石燃料使用の停止)への方向転換が現実味を帯びてきた。
バイデン米政権が主催し、世界40カ国・地域の首脳が参加したオンラインでの「気候変動サミット」は、技術革新や雇用創出をテーマとした会合で意見交換が行われ、4月23日に2日間の日程を終えて閉幕した。バイデン氏はサミット初日の22日、米国が2030年までに温室効果ガスの実質排出量を2005年比で50-52%削減するという新目標を発表したが、この目標への懐疑論は根強い。
そうは言うものの、オバマ政権時代(2009年〜2016年)の「グリーンニューデール政策」から、トランプ政権時代(2017年〜2020年)の歯車の逆回転を経て、また環境重視の政策に戻ろうとしている。確かに、4年間の政治的なブランクはあるが、エネルギー自給率がほぼ100%になった米国にとっては、「新産業の創出」「安全安心」「次世代に何を残すか」がより多く語られるようになったように感じる。またトランプ政権時代にも石炭火力発電は大幅に減少した。
エネルギー政策は連邦政府よりも州政府が主導しており、先進州を中心にクリーンエネルギーへのムーブメントは大きくなっているが、これはあくまで先進の3分の1の州での話であり、3分の1の州は様子見、残りの3分の1の州ははっきり言って反対である。連邦政府と州政府のねじれ構造は、今後は逆方向に働き、化石燃料に依存する州(相対的に電力料金が廉価)や、固有の産業構造を抱える州では民主党政権の方針に反旗を翻す可能性も高い。また、2021年の中間選挙に向かって、米国では再度「政治の季節」が始まろうとしており、共和党は両院での過半数を目指して、エネルギー政策を俎上にあげてくる。
米国には、年間25,000トンを超える温室効果ガス排出を報告している施設が7,500箇所あるというが、これらの脱炭素化までに残された期間はわずか29年である。バイデン政権にとって色々な困難が予想されるが、温暖化ガス排出量が、中国に次いで二番目に大きく、政治・経済的な影響力が大きい米国で、トランプ時代の4年間のブランクを経て再度クリーンエネルギーへ舵を切った事実は重い。
欧州、中国、日本でも同様に「エネルギーの大転換」が始まろうとしているが、これらは産業革命以来の大転換であり、あらゆるジャンルで今までのやり方が通用しなくなり、発電部門、運輸部門、鉱工業部門、商業部門、住宅部門全てで化石燃料が使えなくなるインパクトは大きい。また、急速なインフラの変転は、新たな危機も生みそれらへの対処も急務である。
これらは大きなビジネスチャンスでもあり、生き残りをかけた新規ビジネス創出が急務となっており、2040年には、各セクターのメジャープレーヤー(企業)が大幅に入れ替わっていることが予想される。日本ではわかりづらいこれらの流れを認識することは、「周回遅れ」と言われる日本にとって非常に大事である。
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が「バイデン政権が目指すクリーンエネルギーへの大転換」という最新のトピックスをお送りする。

1.バイデンプランとは何か
 (1)現状のエネルギー構造はどうなっているのか   (2)化石燃料と化石原料
 (3)現時点での再エネ発電   (4)「気候変動サミット」での約束を読み解く
 (5)50-52%削減するという新目標
2.セグメント毎にその可能性とインパクトを検討する
 (1)近代的なインフラの構築   (2)21世紀を勝ち抜く米国自動車産業の位置づけ
 (3)2035年までに炭素汚染フリーの電力セクターの達成   (4)エネルギー貯蔵の必要性
 (5)建物のエネルギー効率化   (6)持続可能な農業と保全の推進
 (7)環境正義と経済の機会均等の確保   (8)CCUCの動向   (9)水素利用の動向
 (10)運輸セクターの動向   (11)セメント・鉄鋼産業の動向   (12)排出権取引市場
 (13)炭素税   (14)米国でスリーマイル島事故以来の新規原子力発電の稼働
3.待ち受ける困難をどう切り開くか
 (1)自然任せの再エネ発電で多発する停電をどう押さえ込むか
 (2)待ち受ける政治的、経済的、技術的困難
4.日本はこの流れの中で何をすべきか

阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに30年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
ホームページhttp://www.technology4terra.org
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/112900154/113000002/
※近著:【「脱炭素化」はとまらない! -カリフォルニアとハワイの場合-】
https://www.amazon.co.jp/dp/4425985214
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