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世界における二輪車電動化動向と将来展望〜先進国と新興国の政策や市場の特徴を踏まえ〜
7月 1日(金) 終了済
株式会社フォーイン 企画調査部長
前田 偉康(まえだ よりやす) 氏
近年、二輪車の電動化は先進国と新興国の両方で進展しているが、その取り組みの目的は異なる。先進国はカーボンニュートラル政策の一環としてモビリティの電動化を推進する一方、新興国にとっては、環境面やエネルギー安全保障の観点に加え、経済成長とともに急増する石油輸入による財政悪化に歯止めをかける役割も担っている。インドやインドネシアなど世界の主要二輪車市場国が電動二輪車政策を積極的に導入しているのは、二輪車によるガソリン消費量が他国に比べて圧倒的に多いことが背景にある。しかし、一般の消費者にとっては、バッテリー劣化によって価値が棄損する電動二輪車より、航続距離が長くて使い勝手がよく、長期間資産価値が残るガソリンエンジンを搭載した二輪車を選択する傾向が強い。先進国でも、補助金などで電動二輪車の需要を喚起しているが、バッテリー搭載スペースが限られるモーターサイクルの電動化は限定的となっている。
ロシアのウクライナ侵攻によって世界的にエネルギー価格が高騰する中、脱化石燃料の動きが加速することが見込まれるが、電動化に必要なニッケルやリチウムなどの原材料化価格も高騰し、バッテリーや電磁鋼板などの供給不足も懸念されていることから、バイオ燃料や合成燃料の動きも活発化している。
本講演では、各国の政策や二輪車市場の特徴に加え、激変する世界情勢を踏まえながら、様々な視点から二輪車電動化の将来を展望する。
1.主要国のカーボンニュートラルに向けた取り組み
2.先進国における二輪車の電動化動向
・欧州を中心にBEV化が進展、中国の新興メーカーが販売拡大
・中大型モーターサイクルのBEV化は航続距離と充電が課題
3.新興国のおける二輪車の電動化動向
・世界最大の二輪車大国インドで2021年にBEV化が急進展
・世界最大のBEV二輪車生産国の中国のグローバル事業展開
4.二輪車電動化の将来展望
5.質疑応答/名刺交換
1986年 信州大学農学部卒、1994年 University of South Carolina M.A. in Sociology卒。
1996年 (株)フォーイン入社、1999年に 「FOURIN海外自動車調査月報」(現FOURIN世界自動車調査月報)、2000年「世界自動車統計白書」の編集担当。2007年 営業部長。2017年から現職の企画調査部長。「世界自動車産業の電動車戦略」、「世界の新モビリティーサービス事業」、「世界二輪車産業の現状と将来展望」、「社会課題解決に向けたトヨタグループの新規事業戦略」等の編集を担当。