SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

次世代パワーエレクトロニクスの課題と評価技術

商品No.
R07S0031
出版月
2022年 7月
価格

印刷タイプ 66,000円 (税込)

ページ数
A4判 254ページ
発行<調査・編集>S&T出版(株)
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レポート内容
■概要■
 2020年に始まった全世界的なコロナウィルスの蔓延により、世界各国は人的ならびに経済的に甚大なダメージを受けた。ワクチン接種が進み、2022年になってようやくその回復の光明が見えてきたものの、コロナ後の見通しは未だ不透明といった状況下にある。そんな中、近年地球温暖化の進行速度が加速していると言われており、それを受けパリ協定に代表されるように国際社会共通の課題として世界の平均温度上昇を抑える取り組みが始まった。我が国においても、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」との方針を示すなど、この難しい課題を前倒しで解決することが極めて重要になってきた。そしてこの課題解決を実現するキーテクノロジーのひとつがパワーエレクトロニクスであり、パワー半導体デバイスである。パワーエレクトロニクスによる
電力制御は、パワー半導体による低導通抵抗・高速スイッチング技術によって成り立っており、パワー半導体の性能が電力制御の性能を左右すると言っても過言ではない。今後パワーエレクトロニクス装置のより一層の高性能化を実現するためには、次世代パワー半導体材料である炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)、さらにはダイヤモンドに代表されるワイドバンドギャップ半導体、ならびにそれら材料の特長を十分引き出すことのできる、回路・実装技術の実用化が必要不可欠で
あることは言うまでもない。
 2022年7月現在、全世界的に半導体不足が叫ばれている。この半導体不足の理由はいくつかあるが、大きな理由として、たとえばCO2排出実質ゼロを目指した自動車の電動化(xEV化)に伴う半導体需要の急拡大がある。これにより最近ではパワー半導体の需給も逼迫していると言われている。今後は、コロナ禍で落ち込んだ自動車生産等の急回復を睨み、パワー半導体はその需要拡大の新たな機会が巡ってきそうな状況にある。最近発表されたある会社の調査結果によると、パワー半導体の世界市場は
2022年から2030年の今後8年で約2.6倍に拡大すると言われており、ここに次世代パワー半導体が入り込み需要の拡大をけん引したいところである。しかし同調査報告によれば、 新材料パワーデバイスは2022年の約1250億円から2030年に1兆円を超える規模になるものの、依然シリコンパワー半導体が多くを占めており、例えば2030年では全パワー半導体市場に占めるシリコンパワー半導体の比率は80%以上である、と予測している。
 このような状況を打破すべく、次世代パワー半導体の製品化を見据えた研究開発が近年非常に活発である。本書『次世代パワーエレクトロニクスの課題と評価技術』では、現在の主役であるシリコンパワー半導体、ならびに次世代パワーエレクトロニクスの中心となるワイドバンドギャップ材料による次世代パワー半導体デバイスを軸に編集された。半導体結晶からデバイス設計、プロセス装置、高耐熱実装技術だけでなく、その材料特性、デバイス特性等の最新評価技術、さらには最先端シミュレーション技術に
ついても詳細に紹介している。今後の伸長が大いに期待できる車載機器や通信機器応用だけでなく、家電・鉄道を含めた産業機器への展開を視野に詳細に解説しており幅広い内容を網羅することができた。脱炭素社会の実現に向けて次世代パワー半導体デバイスの普及をいかに拡大させるか、本書が役立つことを大いに期待したい。
-CONTENTS-
<1>次世代パワーデバイスの動向と技術課題
1.シリコン、 SiCパワーデバイス
 ・はじめに
 ・Siパワーデバイス
 ・SiCパワーデバイス
2.GaNパワーデバイスの動向と技術課題
 ・はじめに
 ・ここ3〜4年での動向
 ・技術課題
 ・今後の展望
3.Ga2O3パワーデバイス
 ・はじめに
 ・パワーデバイス用途に重要なGa2O3物性
 ・Ga2O3単結晶バルク融液成長技術
 ・Ga2O3薄膜エピタキシャル成長技術
 ・Ga2O3ダイオード
 ・Ga2O3トランジスタ
 ・Ga2O3デバイスの実用化への課題
 ・おわりに
4.ダイヤモンドエレクトロニクス
 ・はじめに
 ・ダイヤモンド半導体の特徴
 ・ダイヤモンドウェハ開発
 ・ダイヤモンドデバイス開発
 ・課題と評価技術
 ・まとめ

<2>次世代パワーデバイス・基板・材料の評価・解析技術
1.大口径SiC単結晶基板の量産と結晶欠陥
 ・はじめに
 ・昇華再結晶法によるSiC単結晶成長
 ・SiC単結晶のその他の結晶成長方法
 ・SiC単結晶中に存在する結晶欠陥
 ・SiC単結晶成長中の基底面転位の発生メカニズム
 ・おわりに
2.大口径・高純度GaN単結晶基板の量産法と結晶評価
 ・はじめに
 ・アモノサーマル法による結晶成長
 ・結晶品質評価
 ・結言
3.次世代パワー半導体Ga2O3の結晶欠陥とデバイス特性に与える影響
 ・はじめに
 ・実験方法
 ・エッチピットの分類
 ・欠陥のSBDデバイス特性への影響
 ・まとめ
4.SiCパワーデバイス用イオン注入装置
 ・はじめに
 ・SiCパワーデバイスプロセス
 ・高スループットと搬送信頼性
 ・最後に
5.GaN基板の超精密加工・洗浄と評価技術
 ・はじめに
 ・難加工単結晶基板加工のポイント
 ・GaN基板製造の基礎プロセス
 ・GaN基板の洗浄プロセスにおける検討事項
 ・GaN基板加工に関わる評価技術
 ・おわりに
6.次世代パワーデバイスの分析・評価技術
 ・はじめに
 ・二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry: SIMS)
 ・カソードルミネッセンス法(Cathodoluminescence: CL)
 ・透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)
 ・走査型静電容量顕微鏡(Scanning Capacitance Microscope: SCM)
7.SiC-MOSデバイスのしきい値電圧変動とその評価技術
 ・はじめに
 ・正のDC電圧ストレスによるしきい値電圧変動(PBTI)評価
 ・負のDC電圧ストレスによるしきい値電圧変動(NBTI)評価
 ・AC電圧ストレスによるしきい値電圧変動評価
 ・まとめと今後の展望
8.全方位フォトルミネセンス(ODPL)分光法を用いたGaN自立結晶の評価
 ・はじめに
 ・全方位フォトルミネセンス(ODPL)法
 ・応用例:GaN結晶中の炭素不純物濃度の推定
 ・まとめ
9.テラヘルツエリプソメトリーによるSiC、GaNの電気特性評価
 ・はじめに
 ・THz周波数帯を用いた電気特性測定
 ・THz-TDSE技術の現状
 ・THz-TDSEによる電気特性測定の紹介
 ・THz-TDSEを用いた新しい取り組み
 ・まとめ

<3>次世代パワーモジュール・構成材料、パワエレ製品・周辺材料の高信頼化と評価・解析技術
1.次世代パワーデバイスの信頼性技術と故障解析技術
 ・次世代パワーデバイスの信頼性技術
 ・次世代パワーデバイスの故障解析技術
 ・根本原因の追及。今後懸念される劣化現象(サーモマイグレーション)
2.次世代パワーデバイス実装材料の評価技術
 ・はじめに
 ・パワーデバイスモジュールの技術動向と実装材料
 ・パワーモジュール実装材料評価用プラットフォーム
 ・SiCパワーモジュール用実装材料の信頼性評価
 ・封止樹脂の開発
 ・各種実装材料に特化した評価
 ・プラットフォームの高信頼化
 ・結果と今後の方針
3.電気・熱・応力連成モデルによるSiCパワーモジュールの評価・解析
 ・まえがき
 ・温度・応力と電気抵抗の関係
 ・温度・応力と電気抵抗の関係
 ・むすび
4.有限要素法を活用した高耐熱・長寿命SiCパワーモジュールの信頼性向上技術
 ・はじめに
 ・高耐熱・高信頼性化に向けたFEMの活用例と課題
 ・高耐熱・長寿命SiCモジュールの開発 〜 産総研でのFEM活用例 〜
 ・パワーサイクル試験結果とその分析
 ・まとめ
5.次世代パワーデバイス開発におけるTCADシミュレーションの活用
 ・はじめに
 ・TCADについて
 ・パワーデバイスでのTCADシミュレーション活用事例
 ・まとめ
6.次世代パワーエレクトロニクスにおけるシミュレーション技術
 ・はじめに
 ・パワーデバイスの熱解析
 ・電源システムの熱設計と評価
 ・次世代パワーエレクトロニクス設計のための統合評価技術
 ・まとめ
7.次世代パワーデバイスの特性評価と
  高周波化したパワエレ回路シミュレーション
 ・はじめに
 ・高精度デバイスモデルとモデルパラメータ用のデバイス特性評価
 ・動特性評価
 ・正確なWBGデバイス回路シミュレーション
 ・おわりに
8.EVモータ、インバータ開発のための電力測定
 ・はじめに
 ・xEVにおけるパワートレイン構成
 ・モータ、インバータ開発における課題
 ・インバータ・モータの電力・効率・損失測定
 ・まとめ
9.パワエレ用コンデンサ技術と車載用コンデンサの解析
 ・はじめに
 ・誘電体特性について
 ・コンデンサのインピーダンス
 ・コンデンサの損失計算と内部温度推定
 ・駆動用インバータ平滑コンデンサについて
10.IGBT接合の課題と高耐振IGBT用コネクタの開発
 ・はじめに
 ・IGBTの組立(接続)課題
 ・コネクタ接続における課題点
 ・まとめ
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