SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

中分子創薬に向けたDDS開発の新展開

商品No.
R02V0983
出版月
2022年 3月
価格

印刷タイプ 74,800円 (税込)

ページ数
B5判 239ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
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レポート内容
■ポイント■
 ・核酸医薬やペプチド医薬に代表される「中分子医薬」は創薬ターゲットとして近年大注目!
 ・DDS開発の現状、キャリア素材としてのバイオマテリアル開発、製剤の特性解析・評価技術について一挙解説!
 ・国内創薬研究のトレンドの把握に役立つ1冊!

■概要■
 20世紀後半から、それまでの低分子医薬の創薬に飽和現象が見られ、多くの低分子医薬品が「体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする」製剤、いわゆるDDSに置き換えられた。しかし、1990年代以降、抗体医薬などの蛋白質医薬の創薬が台頭した。その結果、現在では「モダリティ」なる用語が使われるようになった。モダリティとは低分子化合物、ペプチド(中分子)薬や核酸医薬、抗体医薬を含む蛋白質医薬、細胞医薬、再生医療といった治療手段のことである。
いま、創薬業界はモダリティ選択、すなわち低分子医薬で押すか、高分子創薬を目指すか、はたまた、その中間の中分子創薬を目指すかという岐路に立たされている。低分子医薬なら今まで通りの経口剤開発法が使えるが新薬が出てこないという問題がある。一方、高分子医薬なら注射剤(それも静脈内注射剤)にすべきであり、製剤としての汎用性に欠けるという問題が残される。一方、中分子なら、注射でも簡便な「皮下注射剤」で対応でき、さらに最近の医療機器の進歩により患者やその介護者が自宅等でも投与することが可能になりつつあるというメリットがある。
このような状況を踏まえ、今回「中分子創薬に向けたDDS開発の新展開」を上梓することになった。それぞれのセクションの著者はまさしく中分子創薬・創薬分野の日本の最先端研究者である。
-CONTENTS-
【第1編:DDSの現状と将来展望】
<1>経皮DDSの最前線
-iDDSに適した製剤技術-
1.はじめに
2.経皮ドラッグデリバリーシステムの利用
3.経皮ドラッグデリバリーシステムの発展
4.薬をインストールするという概念とiDDS

<2>鼻-脳輸送機構を基盤とする中枢標的DDSナノキャリアの開発
1.はじめに
2.Nose-to-Brain分布動態の定量的解析技術の確立
3.Nose-to-Brainデリバリーに適するナノキャリアの粒子特性の探索
4.細胞透過性ペプチド修飾高分子ミセル(MPEG-PCL-Tat)による薬物・核酸のNose-to-Brainデリバリー
5.MPEG-PCL-Tatによる脊髄への薬物・核酸デリバリー
6.おわりに

<3>血中グルコース濃度の変化に応答した効率的な血液脳関門通過性DDS
1.BBB通過性DDSの開発状況
2.血中グルコース濃度の変化に応答した効率的な血液脳関門通過性DDS

<4>脳梗塞部位における血液脳関門の能動的突破を目指したDDS開発
1.はじめに
2.DDSを用いた脳梗塞部位への薬物送達
3.脳梗塞部位BBBの突破を目的とした生体膜模倣の利点
4.脂質膜間移行法を利用した生体膜模倣DDSの構築
5.終わりに

【第2編:核酸医薬とDDS】
<5>核酸医薬の基礎と開発動向
1.はじめに
2.核酸医薬の基礎
3.核酸医薬の開発動向
4.おわりに

<6>核酸医薬品の体内動態とDDS
1.はじめに
2.核酸医薬品の体内動態
3.これからの核酸医薬品開発に求められるDDS

<7>核酸医薬デリバリーをはじめ多彩な機能を有するンドリマー/シクロデキストリン結合体
1.はじめに
2.DDS素材としてのシクロデキストリン/PAMAMデンドリマー(デンドリマー)結合体(CDE)
3.ガラクトース及びラクトース修飾CDE
4.マンノース及びフコース修飾CDE
5.葉酸及びPEG修飾α-CDE
6.低分子量サクラン/CDE/siRNA三元複合体
7.抗がん剤/CDE/siRNA三元複合体
8.医薬品有効成分(API)としてのCDE
9.おわりに

<8>多糖核酸複合体の発見と核酸医薬DDSへの応用
1.緒言
2.多糖核酸複合体の発見とその応用
3.複合体に関する新たな発見
4.低分子複合体の構造解析
5.量子化複合体を用いたDectin-1陽性細胞へのAS-ODNの送達の検討
6.おわりに

<9>細胞間隙を標的としたsiRNA組織内浸透型DDSの設計
1.はじめに
2.タイトジャンクション(TJ)モジュレーターによる薬物デリバリー
3.経皮投与によるsiRNAデリバリー技術
4.細胞間隙ルートを標的としたsiRNA皮内浸透キャリアの開発とアトピー性皮膚炎治療効果
5.おわりに

<10>リガンドコンジュゲートsiRNAによる標的細胞、
    組織への送達技術の開発
1.はじめに
2.核酸医薬の組織・細胞特異的な送達について
3.リガンドコンジュゲート核酸による送達技術の開発状況
4.新たなリガンドコンジュゲート核酸への展開
5.終わりに

<11>筋ジストロフィーに対する次世代核酸医薬の実用化と展望
1.はじめに
2.モルフォリノ核酸のデリバリー研究
3.ナノ医薬による筋組織への核酸デリバリー
4.おわりに

【第3編:ペプチド医薬とDDS】
<12>中分子ペプチドの脳内送達を目的とした鼻腔内投与型DDS製剤の開発
1.はじめに
2.薬物の鼻腔から脳への直接移行経路
3.鼻腔内投与によるoxytocinの脳内送達
4.さいごに

<13>新規吸収促進剤Capryol 90によるペプチド・タンパク性医薬品の消化管吸収性改善ならびにその吸収促進機構の解析
1.序論(はじめに)
2.Labrasol(R)及びその関連製剤による難吸収性薬物の消化管吸収性及び安全性の評価
3.有効かつ安全性の高い新規吸収促進剤Capryol 90の吸収促進機構の解析
4.結論

<14>印刷工学技術を応用した生理活性ペプチドの作用持続型吸入粉末製剤開発
1.はじめに
2.Fine droplet drying(FDD)工法
3.sCT封入PLGAマイクロ粒子の物理化学的特性評価
4.sCT/SRからの薬物放出特性およびin vitro吸入特性評価
5.ラット気道内投与後における薬理作用評価
6.おわりに

<15>経口剤としてのリポソームの可能性:ペプチドの経口デリバリーへの応用
1.はじめに
2.ペプチド性医薬品の経口デリバリーの最近の動向
3.ペプチド性医薬品の経口製剤としてのリポソームの可能性
4.終わりに

<16>表面修飾リポソームを利用したペプチド性医薬品の経口・経肺投与製剤の開発
1.はじめに
2.吸収バリアとなる粘液・粘膜
3.薬物キャリアの粘膜付着性と粘液透過性
4.粘膜付着型リポソームによる経口吸収性改善
5.粘膜透過型リポソームによる経口吸収性改善
6.粘膜付着性リポソームと粘液透過性リポソームの比較
7.粘液透過性リポソーム中のPEG濃度が経口吸収に及ぼす影響
8.表面修飾リポソームの経肺投与への適用
9.おわりに

<17>中分子医薬によるプロテアソームの活性制御
1.プロテアソームの機能と構造
2.プロテアソーム阻害剤
3.ペプチド付加型プロテアソーム阻害剤の効果
4.20Sプロテアソームの未知の機能
5.20Sプロテアソームを制御するペプチド

【第4編:バイオマテリアルとDDSキャリア開発】
<18>シクロデキストリン超分子を基盤分子としたバイオ医薬品のための超利発型製剤技術・DDS素材の開発
1.超分子薬学
2.シクロデキストリンと超分子
3.包接複合体化に基づくタンパク質のPEG化:SPRA技術
4.ポリ擬ロタキサンを用いたタンパク質性薬物の徐放化および安定化
5.ポリロタキサンを基盤分子とした変幻自在超分子製剤素材
6.新規製剤素材としてのポリカテナンの可能性
7.展望

<19>膜透過性ペプチド修飾型エクソソームを基盤とした薬物送達技術の開発
1.はじめに
2.膜透過性ペプチドとマクロピノサイトーシス誘導
3.エクソソームの基礎
4.エクソソームの細胞内移行におけるマクロピノサイトーシスの重要性
5.CAP18タンパク質由来の膜透過性sC18ペプチド修飾型エクソソーム
6.その他の機能性ペプチド修飾型エクソソーム開発
7.おわりに

<20>がんのセラノスティクスを目指した水溶性ポリマーを基盤とするDDS製剤の開発
1.はじめに
2.水溶性ポリマー
3.おわりに

<21>tLyP-1ペプチドを用いた標的指向型DDSナノキャリアの開発
1.はじめに
2.tLyP-1ペプチド
3.tLyP-1を用いたがん細胞指向型DDSナノキャリア
4.おわりに

<22>低分子および中分子薬剤を内包する抗がん剤ナノDDS製剤の開発
   -ナノキャリア社の挑戦-
1.イントロダクション
2.抗がん剤ナノミセル製剤とその技術基盤
3.オリゴ核酸用に開発されたナノDDSとその応用
4.mRNA医薬に応用可能なナノミセルと膝関節症治療への応用
5.終わりに

【第5編:DDSの解析・評価】
<23>中分子創薬に向けたナノDDS製剤の分析評価技術
1.はじめに
2.中分子創薬に向けたナノDDS製剤開発の指針
3.評価試験標準化の動向-日本薬局方における取組
4.ナノDDS製剤の品質特性解析法
5.おわりに

<24>薬物動態学評価に基づく鼻腔から脳への薬物送達機構の解析
1.はじめに
2.鼻腔から脳への薬物送達
3.経鼻投与後の鼻腔から脳への薬物送達経路と定量的評価
4.脳部位別分離評価による経鼻投与後の脳内動態解析
5.経鼻投与後の脳内薬物送達に対する脳内生理機能の影響
6.おわりに

<25>リポソーム製剤の薬物放出性評価法
1.はじめに
2.In vitro放出性評価法
3.In vitro放出性に影響を及ぼす要因
4.IVIVC
5.おわりに

<26>中分子医薬品やDDSに対する免疫応答
1.はじめに
2.ペプチドに対する免疫応答
3.核酸に対する免疫応答
4.DDSに対する免疫応答
5.おわりに

■監修■
杉林 堅次
城西国際大学
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