SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

水中有機合成の開発動向

商品No.
R02V0979
出版月
2022年 3月
価格

印刷タイプ 62,700円 (税込)

ページ数
B5判 319ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
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レポート内容
■ポイント■
 ・環境調和型で人体にも安全な「水」を溶媒とした有機合成反応!
 ・水中での有機合成を可能とする触媒・反応系について最新知見を解説!
 ・生体内で化合物合成や化学修飾を行う「触媒医療」への応用にも注目が集まる!

■概要■
 最先端テクノロジーを支えているファインケミカルの生産では、水に敏感な合成反応が多用されるためプロセス開発が複雑化し、有機溶媒に由来する厖大な量の廃棄物が環境問題を引き起こしてきた。
また、生体内での標識や機能性分子の複合化を図るケミカルバイオロジーが勃興して久しいが、有機合成化学を活用する上で水中での有機合成技術は必須である。このような背景から、次世代の有機合成の中核として、水中での有機反応には産業界・学術界双方から熱い視線が送られている。
 水中有機化学反応の醍醐味の一つは、有機溶媒中では見られない反応性・選択性である。水中では多くの有機化合物は溶解しないため、一般には有機溶媒を用いた均一系に比べると反応の進行には不利だが、無触媒条件下、水中での特異な反応加速現象が見出されている。
 本書を通じ、水中有機化学反応に対する理解が進み、基礎学理構築に向けた研究推進の契機となれば幸いである。
-CONTENTS-
<水溶性触媒>
<1>不斉有機触媒による水中有機反応
1.序論
2.不斉有機触媒による水中のアルドール反応
3.不斉有機触媒による水中のマイケル付加反応
4.不斉有機触媒による水中のマンニッヒ反応
5.不斉有機触媒による水中での環化付加反応
6.不斉有機触媒を用いるその他の水中反応
7.まとめと今後の展望

<2>遷移金属触媒によるアルコールおよびアミンの水中酸化反応
1.はじめに
2.アルコールからカルボニル化合物への触媒的酸化反応
3.アミンからイミンへの触媒的酸化反応
4.おわりに

<3>イリジウム錯体による水中触媒反応
1.はじめに
2.触媒的水素移動過程に基づく含窒素化合物のアルコールによるN-アルキル化反応
3.触媒的脱水素過程に基づくアルコールからカルボニル化合物への変換反応
4.おわりに

<4>水溶性配位子を用いる水中金属触媒反応
1.はじめに
2.TPPTSを配位子とする水溶性パラジウム触媒を用いたアリルアルコールによるアリル化反応
3.ヒドロキシメチル基を有する水溶性ホスフィンを配位子とする水溶性遷移金属錯体による水/有機溶媒二相系触媒反応
4.まとめ

<5>高原子価金属-オキソ錯体による水中酸化反応
1.水中における金属-アクア錯体のPCET酸化による高原子価金属-オキソ錯体の生成
2.水溶液中での高原子価ルテニウム-オキソ錯体による基質酸化反応
3.水溶液中でのRu(Ⅳ)=O錯体による基質酸化の反応機構に関する考察
4.N-ヘテロ環状カルベンを有するRu(Ⅱ)-アクア錯体を触媒とする水溶液中での基質酸化反応
5.水中での光触媒的酸化反応
6.鉄錯体を触媒とする水溶液中での基質酸化反応
7.まとめ

<6>金属錯体/有機光触媒を内包した水溶性カプセル触媒
1.はじめに
2.金属錯体ホストを利用した水溶性カプセル触媒
3.芳香環ミセルとその分子内包能
4.マンガンポルフィリン錯体によるスチレンエポキシ化反応
5.フェノキサジン光触媒によるピナコールカップリング反応
6.ジアミノナフタレン光触媒によるWeinrebアミドの還元反応
7.おわりに

<乳化・コロイド・ミセル技術>
<7>水系不均一重合
1.はじめに
2.水系不均一系重合法の分類
3.高分子微粒子の分散安定化
4.水中ミセル(共)重合
5.乳化重合
6.ソープフリー乳化重合および反応性乳化剤
7.マイクロエマルション重合
8.ミニエマルション重合
9.ミニエマルション重合によるハイブリッドポリマー微粒子の合成
10.分散重合法
11.おわりに

<8>水中でのリビング重合と両親媒性高分子の自己組織化
1.はじめに
2.リビングラジカル重合の種類
3.水中でのリビングラジカル重合
4.水中リビングラジカル重合による精密高分子合成
5.両親媒性ブロック共重合体の合成と重合誘起自己組織化(PISA)
6.水中での両親媒性ランダム共重合体の制御自己組織化
7.まとめ

<9>ルイス酸-界面活性剤一体型触媒
1.序論
2.LASC開発の背景
3.LASCの開発
4.スカンジウム系LASCを用いた水中反応
5.スカンジウム以外の金属由来のLASCを用いた反応
6.LASCの高機能化
7.まとめと今後の展望

<10>温度応答性ミセルを用いた水中での触媒的有機反応
1.水を反応媒とする有機反応
2.温度応答性ミセルの合成
3.L-プロリンを固定化した温度応答性ポリマー
4.温度応答性ポリマーを用いる水中でのパラジウム触媒反応
5.まとめ

<11>光応答性界面活性剤を利用した水中有機光反応
1.イントロダクション
2.有機光反応について
3.水中における光応答性界面活性剤を用いた光反応
4.安息香酸ナトリウム誘導体とアリルアルコールとの水中における光反応
5.カルボン酸の光脱炭酸反応および太陽光の利用
6.まとめ

<12>高分子固定化不斉触媒による水中有機反応
1.はじめに
2.水中反応に用いられる高分子固定化不斉触媒
3.構造制御型高分子固定化不斉触媒
4.機能性高分子固定化不斉触媒
5.おわりに

<非水溶性固体触媒>
<13>疎水性ゼオライトによる水中有機反応
1.緒言
2.エステルの加水分解
3.エポキシド・アルキンの水和反応
4.おわりに

<14>リン化金属ナノ粒子触媒による環境調和型水中還元反応
1.はじめに
2.水素化反応用非貴金属ナノ粒子触媒の課題
3.リン化コバルトナノロッド触媒
4.リン化ニッケルナノ粒子触媒
5.おわりに

<15>4族,5族遷移金属酸化物触媒による水中有機反応
1.はじめに
2.含水ニオブ酸によるフルフラール合成
3.リン酸処理酸化チタン(Phosphate/TiO2)によるHMF合成
4.まとめ

<16>不溶性金属塩触媒を用いた水中有機反応
1.序論
2.不溶性銅塩を触媒とした水中有機反応
3.不溶性無機ルテニウム塩を触媒とした水中有機反応
4.不溶性無機銀塩を触媒とした水中有機反応
5.不溶性無機タングステン酸塩を触媒とした水中有機反応
6.総括

<生体関連>
<17>糖鎖高分子の水中保護基フリー合成
1.はじめに
2.糖担持モノマー重合法による糖鎖高分子合成
3.重合後修飾法による糖鎖高分子の水中合成
4.おわりに

<18>水中ペプチド固相合成法の開発
1.はじめに
2.水溶性保護アミノ酸を用いる水中固相合成法
3.界面活性剤を用いる水中固相合成法
4.水分散型Fmoc保護アミノ酸ナノ粒子を用いる水中固相合成法
5.おわりに

<19>DNA触媒を用いた水中有機反応
1.はじめに
2.超分子集合型DNAハイブリッド触媒
3.不均一DNAハイブリッド触媒
4.モジュラーDNAハイブリッド触媒
5.リガンドフリーDNA金属触媒
6.グアニン四重鎖DNAハイブリッド触媒
7.アミノ酸DNAハイブリッド触媒
8.まとめと今後の展望

<20>リポソーム膜界面を利用する水中有機反応
1.はじめに
2.アミノ酸を触媒とする水中有機反応の性質
3.反応場として見たリポソーム膜界面
4.リポソーム膜界面を場とするL-Pro触媒反応
5.まとめ

<21>超分子を用いた水中有機光反応
   -生体高分子をキラル反応場として活用した超分子不斉光化学系の開発を中心として:環境調和型不斉合成法の開発を目指して-
1.はじめに
2.タンパク質などを不斉反応場とする超分子不斉光化学反応
3.ウシおよびヒト血清アルブミンと2-アントラセンカルボン酸の基底状態相互作用
4.ウシおよびヒト血清アルブミンを不斉反応場とするアントラセン誘導体の不斉光環化二量化反応
5.おわりに

<22>デコイ分子によるシトクロムP450BM3の反応制御と水中での高難度水酸化反応
1.デコイ分子の開発
2.次世代デコイ分子の開発
3.第三世代デコイ分子の改良とデコイ分子進化
4.菌体を用いる反応系

<23>水中で触媒する人工金属酵素
1.人工金属酵素
2.人工金属酵素の指向性進化法への応用
3.人工金属酵素と天然酵素との協働触媒反応

<24>天然タンパク質の化学修飾による機能化
1.はじめに
2.試験管内における天然タンパク質の化学修飾
3.生細胞内におけるタンパク質修飾
4.リガンド指向性化学の応用例
5.おわりに

<25>触媒医療に向けた細胞や個体で機能する化学触媒
1.はじめに
2.染色体ヒストンアシル化触媒
3.アミロイド酸素化触媒
4.おわりに

■監修■
小林 修
東京大学
北之園 拓
東京大学
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