SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

次世代パワー半導体の開発動向と応用展開

商品No.
R02V0960
出版月
2021年 8月
価格

印刷タイプ 73,700円 (税込)

ページ数
B5判 314ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
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レポート内容
■ポイント■
 ・電力エネルギーの高効率制御による省エネ・脱炭素社会の実現へのキーテクノロジーであるパワーエレクトロニクス、その中核をなすパワー半導体!
 ・次世代パワー半導体のデバイス設計、プロセス、高耐熱実装技術や回路技術に加え、評価・標準化についても詳細に紹介!
 ・車載機器や5G通信機器応用、さらには電動航空機や気象観測レーダへの展開といった新規分野への展望まで詳しく解説!

■概要■
 2020年、コロナウィルスの全世界的な蔓延により、世界各国は人的ならびに経済的に甚大なダメージを受け、2021年後半にようやく一部でその回復の兆しが見えてきたものの、コロナ後の見通しは未だ不透明といった状況下にある。しかし過去を振り返ると、第二次世界大戦終了後のコンピュータの開発、第二次オイルショック後のソニーウォークマンの発売、そして最近では2000年のITバブル崩壊後のアップルiPod発売など、大きな災禍の後には目覚ましい技術革新やそれに伴う驚きの新製品を発売してきた歴史がある。革新技術の出現、ならびに驚愕の新製品開発を是非とも期待したい。
 コロナウィルス後の世界を考えると、テレワークやイーコマースの急速な普及によるデータの膨大な増加の勢いはとどまるところを知らず、データセンタ向けサーバや5G基地局向け装置の需要はますます伸びると言われている。また、地球温暖化ならびに大気汚染対策のための自動車の電動化(xEV化)は人類にとって「待った無」の課題であることに変わりはない。これらデータセンタ向けサーバ電源やxEV分野などに高性能パワーエレクトロニクス装置が搭載されれば、低消費電力特性ならびに無排気ガスによるCO2削減の実現が可能となり、社会に与えるインパクトは極めて大きい。つまり、今後も電気エネルギー依存度はますます上昇し、将来的にも電力がエネルギーの中核をなすのは間違いない。2015年の国連サミットで採択されたSustainable Development Goals(SDGs)の達成に向け、またわれわれの明日の社会が持続可能な発展を遂げるためには、この電力エネルギーを効率よく利用することが必須であり、それを支える最も大きな技術のひとつがパワーエレクトロニクスである。
 パワーエレクトロニクスとは、エレクトロニクスで電力を効率よく制御する技術のことであり、具体的にはパワー半導体を用いて電力を制御し電力をより使いやすい形に変換する技術である。パワーエレクトロニクスによる電力制御は、パワー半導体による低導通抵抗・高速スイッチング技術によって成り立っており、パワー半導体の性能が電力制御の性能を左右すると言っても過言ではない。現在のパワーエレクトロニクスは依然としてシリコンパワー半導体がその中心であるが、今後のパワーエレクトロニクス装置のより一層の高性能化を実現するためには、次世代パワー半導体材料である炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム、さらにはダイヤモンドに代表されるワイドバンドギャップ半導体、ならびにそれら材料の特長を十分引き出すことのできる、回路、実装技術の実用化が必要不可欠であることは言うまでもない。
 本書『次世代パワー半導体の開発動向と応用展開』では、次世代パワーエレクトロニクスの中心となるワイドバンドギャップ材料による最新パワー半導体を軸に編集された。デバイス設計、プロセス、高耐熱実装技術や回路技術だけでなく、評価・標準化についても詳細に紹介している。さらに、今後の伸長が大いに期待できる車載機器や5G通信機器応用だけでなく、電動航空機や気象観測レーダへの展開といった新規分野への展望まで詳しく解説しており幅広い内容を網羅することができた。高効率電力利用社会の本格的な実現に向けて、次世代パワー半導体の浸透を一層加速する様々な応用をいかに開拓していくかに、本書が役立つことを期待したい。
-CONTENTS-
<1>概論
1.パワー半導体の現状・課題・展望
 ・パワーエレクトロニクス/パワー半導体技術進展への期待
 ・シリコンパワー半導体の進展
 ・SiCパワー半導体最新技術と課題
 ・GaNパワー半導体最新技術と課題
 ・まとめ
2.パワーエレクトロニクス装置の要求トレンドとパワーデバイス技術動向
 ・パワーデバイスの市場動向と製品適用
 ・基盤としてのデバイス技術
 ・パワエレ装置の要求トレンドとパワーデバイス技術動向

<2>材料特性と開発
1.SiC半導体
 ・SiCの材料物性
 ・SiCのバルク結晶成長
 ・SiCのエピタキシャル成長
 ・デバイスプロセス技術
2.GaN半導体
 ・GaNの物性
 ・GaNの電気特性
 ・ヘテロ接合
 ・結晶成長方法および基板
 ・Mgイオン注入によるp型GaNの形成
 ・まとめ
3.酸化ガリウム材料・デバイス開発
 ・Ga2O3の物性
 ・Ga2O3単結晶バルク融液成長技術
 ・Ga2O3薄膜エピタキシャル成長技術
 ・Ga2O3ショットキーバリアダイオード開発の動向
 ・Ga2O3トランジスタ開発の動向
4.ダイヤモンド半導体
 ・パワー半導体としての物性
 ・ウェハ開発
 ・ドーピング

<3>パワー半導体実装へ向けた技術・考え方
1.パワーモジュールのための接合技術
 ・WBGパワー半導体の接合
 ・焼結接合
 ・Ag焼結接合
 ・Agの低温焼結への溶剤の効果
 ・Cu焼結接合
 ・これから
2.小形表面実装部品のための基板放熱の活用
 ・電子機器の小形化と熱問題
 ・基板熱設計の指針
 ・基板パターンの熱抵抗と簡易算出手法
 ・まとめ
3.システム価値を高める接合技術
 ・ミッションプロファイルベースアプリケーション価値
 ・Si-IGBT用の高信頼性ハンダ
 ・SiC-MOS-FET用の高温接合材料
4.過渡の振る舞いが高精度な“熱抵抗・熱容量”素子モデル
 ・DNRCモデルとDSRCモデル
 ・モデルの活用例
5.次世代パワー半導体材料基板の超精密加工技術
 ・基板加工プロセス
6.次世代パワーデバイスを用いた電力変換器のための回路方式と考え方
 ・電圧形変換回路の動作
 ・SiC-SBDの採用によるターンオン損失の低減
 ・SiC-MOSFETのボディダイオード通電回避
 ・超高周波化の実現のためのゼロ電圧ターンオン技術
7.SiCパワーデバイスの社会実装に向けた実装技術
 ・ハイブリッド電動航空機に向けて、重量・効率に関する試検討
 ・高速スイッチングを容易に利用できるようにするための技術開発
 ・今後の展望

<4>デバイス技術・開発
1.低損失・高信頼なSiCパワーMOSFETの開発
2.ダイヤモンド半導体のデバイスプロセスと反転層チャネルMOSFET
 ・ダイヤモンド表面制御プロセス
 ・ダイヤモンド反転層チャネルMOSFETの現状
 ・ダイヤモンド反転層チャネルMOSFETの課題
 ・まとめと今後の展望
3.ダイヤモンド放熱を利用したGaN HEMTの性能向上
 ・GaN HEMTの放熱技術とダイヤモンドの適用
 ・GaN HEMT上面へのダイヤモンド適用
 ・GaN HEMT下面へのダイヤモンド適用
 ・今後の展望
4.All-SiCパワーモジュールの性能を引き出すゲートドライバーモジュール
 ・ゲートドライバー概要
 ・All-SiCパワーモジュールの特徴
 ・All-SiCパワーモジュールの駆動事例
 ・まとめ
5.SiCパワーデバイスを搭載した電力変換モジュール開発の取り組みと製品への搭載事例
 ・スーパークラスタープログラム
 ・クリーンデバイス社会実装推進事業
 ・超小型電力変換モジュールの製品採用
 ・今後の展開

<5>評価・標準化
1.次世代パワー半導体素子開発を支える分析・評価技術
 ・二次イオン質量分析法(SIMS)を用いた不純物分析
 ・走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いたp-n接合界面評価
 ・カソードルミネッセンス(CL)法を用いた欠陥評価
2.SiCウェハ品質検査技術と国際標準化
 ・SiCウェハ品質検査技術開発
 ・SiCパワー半導体技術分野に関する国際標準化
 ・まとめ

<6 >モビリティへの展開
1.移動応用に向けたパワーエレクトロニクス技術動向とその高電力密度化技術
 ・移動体パワーエレクトロニクス機器の技術動向とパワエレ技術
 ・高周波駆動による電力変換回路の高電力密度化とその課題
2.xEV向け高温高出力密度パワー半導体モジュール
 ・背景
 ・日立パワーデバイスの取り組み
 ・サイドゲートIGBTによる低損失化
 ・SnCu系高耐熱はんだによるパッケージ信頼性向上
3.電気駆動車用パワー半導体のパッケージ技術
 ・自動車を取り巻く環境
 ・電気駆動車用パワー半導体モジュールの特徴
 ・直接水冷構造用冷却器設計
 ・直接水冷構造の課題
4.車載エレクトロニクス用高耐熱、高放熱実装材料の設計と評価
 ・パワーデバイスモジュールの技術動向と実装材料
 ・パワーモジュール実装材料評価用プラットフォームと材料設計
 ・封止樹脂の開発
 ・プラットフォームによる実装材料評価
 ・これまでの結果と進展状況
5.電動化航空機とパワーエレクトロニクスの展望
 ・航空機の電気化および電動航空機の開発状況
 ・電気・電動化航空器の電力変換器
 ・グリッドシステムの信頼性と半導体遮断器
 ・電力変換器の信頼性とパワー半導体

<7>5Gなどの通信への展開および気象観測などレーダへの展開
1.無線通信用GaN HEMTデバイス
 ・GaN HEMT技術
 ・携帯電話基地局用GaN HEMT増幅器
 ・基地局間通信用GaN HEMT
 ・衛星通信地球局用GaN HEMT
 ・衛星搭載用GaN HEMT
 ・レーダー用GaN HEMT
 ・まとめ
2.5G基地局用GaN増幅器モジュールの小型・高効率化技術
 ・サブ6基地局高出力増幅器技術動向
 ・ミリ波における基地局増幅器技術動向
 ・まとめ
3.高速通信機器用パワーデバイスのパッケージング技術と課題
 ・パワーデバイス
 ・高速通信用途
 ・パワー半導体の封止技術
 ・パワー半導体用封止材料の課題
 ・パワーモジュール用回路材料の課題
 ・新規パワーデバイス用材料の開発
4.GaN HEMTsを用いたフェーズドアレイ気象レーダ
 ・気象レーダのフェーズドアレイ化による観測の高速高密度化
 ・マルチパラメータ化による降水観測精度向上と多要素観測
 ・固体化送信機
 ・マイクロ波半導体
 ・まとめ

<8>エネルギーへの展開
1.次世代パワー半導体デバイスとワイヤレス給電への応用展望
 ・結合型ワイヤレス給電のための次世代パワー半導体
 ・結合型ワイヤレス給電のための次世代パワー半導体-送電回路用FET-
 ・結合型ワイヤレス給電のための次世代パワー半導体-受電回路用ダイオード-
2.電気エネルギーシステムの小型化・低消費電力化に貢献するパワーモジュールの開発
 ・要旨
 ・パワーモジュールを取り巻く市場環境とパワーモジュールへの要望
 ・パワーモジュールの開発
 ・むすび

■監修■
岩室 憲幸
筑波大学
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